安曇野市指定管理者制度と関係条例の問題点

安曇野市議会3月定例会一般質問

 今日から3日日間は安曇野市議会3月定例会一般質問、20人の議員が質問に立ちます。28人の議員のうちこれだけの数が一般質問を行うというのは、議員としての積極的な姿勢をうかがうことができ期待できます。
 私は、今回の一般質問では自分の不注意で2件準備していた質問のうち1件を取り下げることになってしまったので、表記の「安曇野市の指定管理者制度と関係条例の問題点について」のみ質問を行いました。答弁を含めた詳しい報告は後日ということにして、以下にその質問内容を記します。

◆安曇野市の指定管理者制度と関係条例の問題点について
 2005年9月に地方自治法の一部が改正され、指定管理者制度が導入されました。この「指定管理者制度」の導入は、「官から民へ」という国が進める構造改革の流れに位置付けられ、民間の効率的・効果的な経営手法を「公の施設」に活用することで、経費削減や利用者に対するサービスの向上などを期待するものです。

 「公の施設」の管理運営については、これまでは地方公共団体の出資法人や、土地改良区等の公共団体、社会福祉法人等の公共的団体だけにしか委託することができませんでした。
 それが、指定管理者制度の導入により、今後は民間の事業者、NPO法人、ボランティア団体などが指定管理者になることで、管理を代行することができるようになりました。広く公募し、費用、企画などの提案内容から判断して、それぞれの施設によりふさわしい管理者を決めていくことになります。

 そこで、お尋ねします。
 指定管理者制度の導入に当たっては、安曇野市においても当面の方針が示されていますが、その根拠となる条例「安曇野市公の施設の指定管理者の指定手続等に関する条例」には、いくつか問題点があり、公平性・透明性において市民の信頼を得にくいと思われます。特に、次の2点については条例の改正が必要と考えますが、市長の見解をお伺いします。

1点目は長や議員の兼業禁止についてです。
 「指定管理者制度」は、行政処分という措置により、公の施設の管理運営を指定した業者に行わせることができるようにしたもので、地方自治法が規定するところの契約や請負ではないということです。したがって、地方自治法第92条の2と第142条にある、議員や市長などの兼業禁止規定が適用されず、法律上は議員や市長、その親族が関係する団体であっても指定管理者になることができます。

 しかし、その点が問題です。指定管理者には数年にわたる長い期間の管理を任せることになる点からも、請負や契約制度より厳しい基準と高い透明性が確保されなければなりません。公の施設の設置の目的を、公正かつ効果的に達成するという観点に立てば、指定管理者の指定に対し議決を行う議員や、提案する側の市長の兼業禁止は当然のことではないでしょうか。

 ところが、安曇野市公の施設の指定管理者の指定手続等に関する条例には、この兼業禁止規定が盛り込まれていません。この点について市長はどのようにお考えでしょうか。条例の改正が必要ではないでしょうか。

2点目は、指定管理者の選定や手続きの透明性を保つための規定についてです。
 選定方法やその基準が明確になっていないと、市民の不審や不満につながります。指定管理者の選定方法の公正さや情報公開の充実は、指定管理者制度が信頼される制度として定着するために、欠かすことのできないものです。安曇野市の条例では、その点に関する規定が曖昧で、このままでは問題が起きかねません。
  
 たとえば、選定委員会の委員は、知識経験を有する者のうちから市長が任命するとなっていますが、公募委員の規定もなく、閉鎖的な印象は免れません。
 今議会に提案されている「三郷やすらぎ空間施設」の指定管理者の指定にあたっては、この選定委員会で審議されましたが、11人中8人が市の職員であり、そのうえ委員長は助役が務め、その助役が指定管理者に指定されるという、きわめて不透明な経過をたどっています。

 また、指定管理者には毎年、業務の実施状況、利用状況、料金収入の実績など事業報告書の提出が義務付けられていますが、議会への報告義務はありません。住民監査請求などの住民のチェックや改善の手続きを受け入れることも考慮されていません。情報公開請求も指定管理者には直に及びません。

 選定委員会に公募委員を採用したり、公平な選考基準の作成、審査や会議録を公開するなど、きちんとした規定を設けるべきと考えますが、いかがでしょうか。