村井氏当選、田中知事3期目ならず

2006年8月26日 22時12分 | カテゴリー: 活動報告

村井新知事に期待できるか

 8月6日は長野県知事選の投票日。接戦と聞き、不安と期待で開票を待っていたが、早々に村井氏当確の報があり、最終的には村井さん612,725票で、田中さん534,229票に8万票近い差をつけて当選しました。

 自主、自立の気概をもって自ら動こうという人なら、一県民であろうと市町村長であろうと、対等に話を聞いてくれたのが田中知事でした。ところが、それまで市町村長だというだけで、補助金のおねだりをするために知事と会うことができた人は、「田中知事は冷たい、話を聞かない、市町村の切捨てだ」と声を荒げるようになりました。
 しかし、その声は、「住民の悲願」と言い繕って、一部への利益誘導のために動くような首長や議員から発せらたものでした。この癒着の構造を壊そうとした田中知事は、手法が強引でダメだといった手続論や、知事としての人格・資質に欠けるなどと攻撃され、感情的な衝突に持っていかれて、政策の中身の議論に入ることさえできませんでした。
 この「感情的な衝突」「嫌田中」のムード作りに貢献?!したのがマスメディアです。特に某大臣が大株主だという信濃毎日新聞の報道には、目に余るものがありました。信毎が報道しなかったことの中に、どれだけ多くの田中県政の業績があったことか。

 田中知事の敗因はさまざまに語られていますが、私は次のような分析に共感します。「感情的な嫌田中ブーム乗ってしまった人たちによって、田中県政の業績が一切否定されて報じられ、信じられてきたこと。『なんとなく嫌い』『何にもしていない』という声が多く聞かれたことは、それを如実に物語っている。その対立の根にあるのが感情的なものだったことが、さらに感情による反発を呼んだ」、こう語った彼は「首長と議会なんてのは対立しているぐらいでちょうどいい」とも言っていましたが(私も同感!)、多くの善良な県民は対立すること自体に不安をいだき、なぜ対立するのかを考えるよりは田中知事に「ホドホドに折り合いをつける=オトナの対応」を期待したのだと思います。

 さて、今夜はNHKローカルで「徹底討論どうする信州・村井新知事に問う」という番組が放送されました。田中知事落選で落胆している場合ではない、新知事の目指す県政を見届けねばなるまいと、スイッチを入れました。

 結論を言うと、村井さんは投票日前に3回開催された公開討論会のときと同じ「説得力に乏しい、具体性に欠ける」自論を繰り返しただけ。ことごとく金子勝さん(慶應大学経済学部教授)の反論にあい、古いタイプの政治家であることを露呈してしまったようです。
 たとえば、企業誘致について。静岡県、岐阜県、山梨県で誘致数がグンと伸びているのに、長野県ではあまり増えていない。誘致のための助成金も少ない。これではいけない、もっと優遇策を講じて企業を誘致し税収アップにつなげたい。そのためには高速道路も必要だと、村井さん。
 これに対し、金子さんは、「企業誘致にいまだ幻想をいだいているようだが、もうそんな時代ではない。比較した県は特殊な例で、いずれも自動車関連の大企業が来たことで下請け業者が同時に増えただけ。長野県の数値が特に悪いわけではなく他県も同じ。多額の補助金を出しても、モトが取れていない県がほとんど、これが現実だ」と指摘。

 福祉の話になっても村井さんは、(小さな)託養老所ではなく(大きな)特別養護老人施設を増やすと語ったが、これについても金子さんは、「特養施設には、もう国からの補助金は出ないんですよ。どこからそんな金を持ってくるんですか」と手厳しい。

 治山治水に関しては、やはり村井さんが砂防ダムは必要と言えば、金子さんは「森林整備を考えなければ、永遠に砂防ダムを作り続けなければならない」と反論。さらに村井さんが「緑のダムといえば、美しい言葉であるが、山仕事は機械化が進んでおらず、採算性もなく難しい」と答えると、金子さんは「森林整備を林業と考えれば採算が合わないかもしれないが、治山治水の事業として取り組むべきだ」と続け、村井さんもとうとう「私にもこれといって答えはない」と本音が出てしまったのでした。

 金子さんは、とりたてて田中県政を持ち上げたわけではなかったのですが、村井さんの話があまりに時代錯誤なので、結果として田中県政のまともさが浮かび上がった形でした。
 この放送を見て、6日の投票をやり直したくなった人も多かったのではないでしょうか。