政治倫理条例の必要性

2008年11月9日 12時10分 | カテゴリー: 活動報告

首長まで対象とする条例を制定するのは無理なのか

 日々の生活では、それほど法律など意識していませんが、それは無意識に「性善説」で行動しているからではないでしょうか。しかし、「性善説」だけでは説明がつかないのも人の世。法律、法令は、やはり無くてはならぬものです。

 選挙で選ばれた首長や議員が不正を働くことなどない、という前提=性善説で地方自治法も考えられたようで、議員や三役などについては、公職との兼職禁止(法第92条)や関係私企業との兼職禁止(法第92条の二)ぐらいの規定しかありません。
 一方、一般職員には具体的で厳しい規定があって、たとえば「利害関係者と共にゴルフをすること」や「利害関係者と共に旅行(公務のための旅行を除く。)をすること」など、疑惑や不信を招くおそれがある行為まで禁止しています。
 より大きな権限や影響力を持つ首長や議員に対しては、一般職員より厳しい倫理規定があって当然ではないでしょうか

 9月議会の一般質問で、このことを取り上げたのは丸山議員(会派平)でした。

 一般質問三日目。副市長が市と取引のある業者社長らと、2年ほど前に海外旅行に出掛けていたことがわかり問題になりました。副市長は、軽率であったとしながらも、なんらやましいことはしていないと答弁。質問した丸山議員は、一般職員であれば懲戒処分の対象となる行為、特別職の副市長という立場は、さらに高い倫理観が求められる、責任を感じないのかと追及しました。

 私は丸山議員に共感しながら質疑応答を聞いていましたが、その時の議場の雰囲気はといえば、「業者と一緒に海外旅行に行ったからといって、不正があったとはかぎらない」、「正直に旅行に行ったと認めたんだから、それでいいじゃないか」、「不正の証拠がないなら質問するな、もうやめろ」といった、ヤジともいえない「さややき声」が聞こえてきました。

 「疑われるような行為をしても、実際に不正が行われていないならいいじゃないか」というのでは、不正が立証されない限り何をやっても歯止めがかからないということです。選挙で選ばれたる議員、首長、そしてその首長に任命されたるものは、高い倫理観が求められるのであって、『李下に冠を正さず』の模範(政治倫理条例の必要性)を示すべきだと、丸山議員は言いたかったのだと思います。私もその通りだと考えています。

 ところで、安曇野市には議員や市長等に関する政治倫理条例はありません。不祥事があってから条例化する自治体は多いわけですが、そんな不名誉なことになる前に、きちんとしておく必要があると思います。というわけで、『新版 政治倫理条例のつくり方』—クリーンな地方政治のために—斎藤文男著を読んでいるところです。
 目次だけでも興味深いものがありますので、紹介します。

『新版 政治倫理条例のつくり方』
     −クリーンな地方政治のために−

福岡県で初めての政治倫理条例を制定した飯塚市の市民運動に関わって以降、全国各地で、政治倫理審査会会長や議員研修、住民集会の講師として活躍する著者からの、政治倫理条例案づくりのススメ。

斎藤 文男著(九州大学名誉教授、政治倫理・九州ネットワーク顧問)
2006年9月 自治体研究社発行
定価 1500円(税込)(A5判ブックレット 134頁)

内  容
1 政治倫理条例とは何か
2 なぜ条例が必要か
3 条例の仕組み
4 条例制定のポイント Q&A
 Q 1 議員だけの条例でいいのでは?
 Q 2 首長まで対象とする条例を制定するのは無理では?
 Q 3 助役,収入役,教育長や公営企業管理者,農業委員まで対象とする必要がある?   
 Q 4 職員の汚職は規制しなくともよい?
 Q 5 議員活動を不当に制約することにならないか?
 Q 6 議員に対する正当な報酬は,政治倫理基準から除外すべきでは?
 Q 7 後援団体への企業献金もいっさい禁止すべきでは?
 Q 8 住民についても政治倫理基準を定めるべきでは?
 Q 9 請負禁止を配偶者や親族,実質的経営関与の企業まで広げることは,地方自治法に触れるのでは?
 Q10 身内まで制限するのは憲法に反しないか?
 Q11 自治法とモデル条例で,兼業禁止の範囲はどう違うのか?
 Q12 辞退届のほかにも請負辞退に実効性を持たせる方法はあるか?
 Q13 請負辞退には,公社や出資法人の工事等も含めるべきか?
 Q14 自治体の補助金交付団体はどうなる?
 Q15 請負辞退を規定しても,実際に守られるのか?
 Q16 地方自治法が指定管理者を制限していないのに,条例で首長等・議員の関係企業の指定を禁止してよいか?
 Q17 首長等・議員の関係会社の指定を禁ずるには?
 Q18 請負は辞退,指定管理者の指定は禁止では均衡を欠かないか?
 Q19 資産は社会的信用にもかかわる。小さな自治体の議員に資産公開など必要ないと思うが?
 Q20 資産公開制度は,個人情報保護法に違反しないか?
 Q21 家族の資産公開はプライバシーの侵害では?
 Q22 家族は,必要なときだけ報告書の提出を求めればよいのでは?
 Q23 同棲や幼児はどう扱えばいい?
 Q24 実際に税を滞納する議員がいる?
 Q25 資産等報告書に添付する「必要な証明書類」とは?
 Q26 資産等報告書の提出は,罰則がなければ守られないのでは?
 Q27 資産等報告書は信用できるのか?
 Q28 政治倫理審査会を議会に置くのではいけない?
 Q29 議員だけの政治倫理審査会に有識者や住民を入れては?
 Q30 政治倫理審査会の権限はどう定める?
 Q31 条例違反の疑いがあれば,審査会が自発的に調査できることにしては?
 Q32 審査会は公開しなければならない?
 Q33 住民の調査請求は,一定数の連署を要件とすべきでは?
 Q34 議員も調査請求ができるのでは?
 Q35 問責制度の問責事由はどう定める?
 Q36 有罪判決後であっても,「懲罰」や「辞職手続」を定めるのは,地方自治法違反では?
 Q37 説明会の開催は,市長が審査会に諮問し意見を求めるのはなぜ?
 Q38 実際に説明会が開かれた例は?
 Q39 罰則がなくても,条例は守られる?
 Q40 政治倫理条例が制定されたら,資産公開条例は廃止される?
 Q41 市町村合併すると政治倫理条例はどうなる?
 Q42 一部事務組合の不祥事についてはどうする?