宮澤市長、菜園事業の失敗を認め市民に説明すると明言

チェック機能を果たしてこなかった議会にも責任がある

市民タイムス2010年6月18日記事
市民タイムス2010年6月18日記事
 4年前、安曇野菜園は三郷ベジタブルという社名でした。第三セクターであるこのトマト栽培の(経営不振)問題を3回続けて一般質問した時には、「まだやるのか!」とヤジが飛びました。住民監査請求に話が及んだときには、「ジガジサ〜ン(自画自賛)」という声も聞こえてきました。それでも、ほぼ毎回の一般質問で菜園問題は取り上げてきました。
 先日は、新人議員から「どうして(安曇野菜園が)こんなにひどくなるまで、議会は放っておいたんですか?」と訊かれました。そうなんです、議会もチェック機能を果たすことができなかったということです。旧三郷村議会はもちろんのこと、合併により引き継いだ安曇野市議会にも責任がある、私はそう考えています。

 「やっと、ここまで来たかと、感慨ひとしお・・・」、書いておきたいことはたくさんありますが、まずは第一報として「三郷ベジタブルの経営改善を望む市民の会」の横地泰英さんのレポートを掲載します。

三郷ベジ、甘かった当初計画/宮沢市長「市民へ説明必要」
  小林純子議員、議会のチェック責任にも言及

 安曇野市議会6月定例会は17日、一般質問2日目に入り、小林純子議員は、赤字が続くトマト栽培第3セクター「安曇野菜園」(旧三郷ベジタブル)の経営問題と政治判断について宮沢宗弘市長らを追及した。宮沢市長は「本当に破綻したら、20億円近い負担が市民に生じる。7千万円の使用料を市に払う当初経営計画は、首をかしげる。1㌶1億円を売り上げ、年1億円の利益を生むほど農業はもうかるものではない。慎重を欠き、甘い計画だった」と、ずさんな計画で失敗したことを認めた。

 小林議員は、市が5月7日の議会全員協議会で示した安曇野菜園の「事業再生3ヵ年計画」と、「経営状況の変化に応じた市の財政負担学、損害額の推定(一覧表)」を基に市長、副市長、農林部長らを質した。小林議員は施設使用料について「県への当初事業計画では3150万円、それが5000万円となり、村議会議事録には9000万円、最終的に7000万円」といい加減だった経緯を指摘した。

 宮沢市長は「今年度予算から、年2500万円の使用料を組み入れた。これも未収金になる状況だ。資金ショートに伴う損失補償は、再建対策会議という応援団を立ち上げたこともあり、どうしても必要な資金の枠内借り入れとして3000万円を認めた。資金調達ができれば返すことになる」と当面の資金繰りを説明した。

 小林議員が「安曇野菜園の事業展開における行政責任と事業再生へ向けての政治判断」を問うたのに対し、宮沢市長は「システムの組み立て、最初の計画が甘すぎた。事業開始後、早い段階で分かっていたはずだ。放置したとまでいわぬが、決算の折、修正できる機会があったのに逸した。多くの市民に対し、きちんと説明する機会をつくらなければならない」と述べた。

 事業再生への政治判断は「ただちに事業を適正に修正できるものではない。8期(2010年9月〜2011年8月)いっぱいの中で解決できれば、見通しが立てば『いいな』というところだ。市民により広く協力を求めることになるかもしれない」と1年の判断先延ばしを説明した。

 小林議員は、この問題の最後に、市長が事業の失敗を認め、市民に説明すると明言したことをそれなりに評価。「この問題は、議会にもチェック機能を果たしてこなかった責任がある」と述べ、さらなる情報開示を村上広志副市長(安曇野菜園社長)に求めた。

 小林議員は、菜園問題のほか「市が有する滞納債権、その管理の現状と課題」「情報公開と個人情報保護の運用バランス」という2項目の質問通告をしていた。しかし持ち時間1時間の4分の3を菜園問題に費やし、駆け足で要点を質疑するにとどまった。
(報告・横地 泰英)