環境経済委員会視察報告~その1~

▲茂木ビワの栽培ハウス。日当たりのよい山腹の斜面にもハウスがある。

1、長崎市の農業の現状

・総農家数3,625、専業農家が16%、第1種兼業農家が11%、第2種兼業農家が21%、自給的農家が52%
・経営耕地面積規模別では0.5ha未満の小規模経営が全体の71%を占める
・長崎市の農業は、経営規模が零細で耕地は分散している。
・大半は急傾斜の山腹に階段状に展開している。
・狭小な農地においても反収が得られる施設栽培が盛ん。
・営農類型は、単一経営(施設野菜、果樹類、肉用牛など)
       単一複合経営(施設花き+その他、施設野菜+その他など)
       複合経営(各種品目)
・米は自家消費がほとんど
・「茂木びわ」は生産量日本一を誇る
・施設園芸ではイチゴが主要品目。「さちのか」は長崎ブランド戦略商品
・都市近郊型農業として軟弱野菜の産地が形成され、少量多品目で栽培
・近年は、農産物直売所への出荷も増加
・「ながさき伝統野菜」の産地の育成と消費拡大などに向けた取り組み
 長崎赤かぶ、長崎白菜、紅大根 等
・トマト、すいか、アスパラガスなどの施設野菜は各品目ともに生産規模が小さい
・畜産関係では、三重地区を中心に肉用牛約5,000頭、多くの枝肉は名古屋圏に出荷

 2、長崎市の担い手育成と農業振興
 
長崎市の農業就業人口は減少傾向にあるうえ、農家の高齢化は急速に進み、深刻な担い手不足となっている。このままでは耕作放棄地がさらに拡大することが危惧される。そこで、新規就農者や農業ヘルパーを育成するための研修制度や県立農業大学校への入学支援、農業新規参入者に対する施設整備への支援を行っている。農業技術経営習得奨励金、農業新規参入促進事業費補助金等、その他さまざまな農業振興の取組がある。

 特に力を入れているのが(財)長崎市地産地消振興公社による農業研修である。研修修了後は、遊休農地の紹介や小型耕運機の貸し出し等の新規就農の手助けや農業ヘルパー登録者に対する無料職業紹介等を行っている。

3、一般財団法人 長崎市地産地消振興公社について
 
長崎市地産地消振興公社は、平成15年3月に財団法人三和町地産地消振興公社として設立され、平成19年長崎市との合併により長崎市地産地消振興公社となった。(平成24年4月1日に、財団法人から新たに一般財団法人となった)主として次のような事業を行っている。
(1)農地利用集積円滑化事業
 平成22年9月に承認を受けた農地利用集積円滑化事業規程に基づき、地域の耕作放棄地を地主から借上げ、認定農業者等へ斡旋するなどの活動を実施している。

(2)人材育成事業
 新規就農者の育成確保と耕作放棄地の解消を推進するため、中間保有管理している農地を活用し、露地野菜を中心に栽培技術などの実技研修を行うとともに、それにより生産された農作物を地産地消の一環として学校給食などへ提供している。

(3)地産地消振興と直売所運営事業
 長崎市が地産地消の一環として設置している直売所「みさき駅さんわ」の管理委託を受け、出荷者の生産・出荷技術の向上や加工品開発への提案などを行っており、地域農業の振興と活性化に貢献している。食育・農作業体験の企画運営や学校給食への食材提供を行っている。

~その2~へつづく