逆転発想の「松枯れ対策」/ 安曇野で二つの見学会

2013年12月3日 00時32分 | カテゴリー: 市民からの投稿

~長野県烏川渓谷緑地市民会議座長 横地泰英さんのレポートです~

林友ハウス工業の木材加工施設

 今回12月定例議会の一般質問で私が取り上げることにした「松枯れ対策を循環型エネルギー利活用につなげるための安曇野市独自の施策について」、これに関連して非常に参考になりそうな見学会が開催されたので、私も勉強してきました。

 以下、烏川渓谷緑地市民会議座長 横地泰英さんが寄せてくださったレポートです。
 ぜひご覧ください。

 

◆逆転発想の「松枯れ対策」/ 安曇野で二つの見学会

 安曇野市で2013年11月30日、二つの「松枯れ対策を含む地域産材の有効利用」の見学会があった。県内に急速に広がっている松枯れに対する地道で確実な対策で、小規模で格安。しかも、伐った材を建材や燃料として活用するものだ。伐った材を薬品処理してビニールシートで包みで林内放置するこれまでの松枯れ対策とはまったく異なる逆転の発想。効果があまり見えない松枯れ対策にいら立っていた市民は、納得しながら見学会の説明を聴いた。

林友ハウス工業の見学会の様子

 午前中は安曇野市穂高の林友ハウス工業。美しいカラマツ外壁材生産を手掛ける建材メーカーだ。アカマツ林に囲まれた広い敷地にこれまで、乾燥機、加工設備、集塵機を設置。いずれも最新鋭だが地域の木材生産量に見合ったコンパクトなもので、要した費用はで5000万円。もともとの同社敷地や既存建物を有効活用したから、驚くほど低コストだ。

 松枯れで伐採されたアカマツや旧八坂産のカラマツA級材を前に、竹腰博毅常務が説明してくれた。春から夏にかけて林内に置かれた材は外側から青く「カビ」が入る。乾いて白くなった部分とまだらになるが、強度は変わらない。建材として嫌われるが、青変した部分を生かして使えば一種効果を生む。濃い塗装をしてもよい。フローリングなどに使える。学校教室などに使えば、子どもや親たちの教材になるだろう。

 生産設備はいずれも真新しくピカピカだが、どれもこじんまりしたものだ。竹腰常務は「長野県内の人工林の半分はカラマツ。ねじれが嫌われていたが、独自の工法で克服。そのうえ、カラマツがねじれるのは30年まで。これからは50~60年生の使いやすく美しい材が多く出る」と将来性を強調した。

赤松材に最適な薪ボイラー「ガシファイヤー」

 午後は、明科の「天平の森」に安曇野市が設置した薪ボイラーを見学。レストランと研修室にはさまれた狭い敷地にボイラー棟を建てた。ボイラーは県内で初導入された国産「ガシファイヤー」。
 建設費2300万円(うち、補助金1100万円)でボイラーは430万円。燃料は、直径20㌢長さ110㌢以下であれば、松枯れ被害木をそのまま利用できる。
 ボイラーには2次燃焼室があり、1次燃焼ガスを再燃焼させ1000~1100度の熱を得、水タンクを90℃にして天平の森の風呂や床暖房熱源になる。「樹幹への薬剤注入や、無人ヘリによる散布、被害木の伐倒燻蒸、更新伐…費用がかかる松枯れ対策に比べ、薪として活用する方がシンプルでコストもかからない」と農林部担当者が説明した。

 薪ボイラーは、北安曇郡池田町にも導入され、平成27年に建設される安曇野市「しゃくなげ荘」にも2機導入の計画があるという。しゃくなげ荘は穂高温泉郷の中心にあり、安曇野観光のまんなか、しかも周囲は広大なアカマツ林が広がり、松枯れ被害が目立ち始めている。その松枯れを温泉経営の「資源」とし、それを観光客にも見てもらう。「松枯れ」は、確かに病害であり、マイナス面が強調されがちだ。しかし、発想を変えれば、被害木であっても「資源」としてとらえることができる。

 見学会の帰路、明科下押野の更新伐による伐採木の置き場を訪れた。大量の伐採木が広く高く積み上げられていた。一方置き場の一部に被害木を破砕したチップが3㍍×3㍍の箱状にずらりと並び、周囲にチップ化前の材が積まれている。チップはこのままでは自然発火の恐れがあり、地面に敷き固める必要があるという。          (まとめ・長野県烏川渓谷緑地市民会議 座長横地泰英)