特定秘密保護法の「適正な運用方法を検討」を求める意見書採択

~小林じゅん子は「廃止」を求める意見書に賛成討論~

2013年12月21日の信濃毎日新聞「信毎web」より

安曇野市を考える市民ネットワーク・横地泰英さんのレポートです。

 安曇野市議会は12月定例会最終日の20日(金)、本会議を開き、議事日程の最後に特定秘密保護法について出された議員提案を審議した。二つの意見書のうち、「適正な運用方法を早急に検討することを求める意見書」を賛成多数で採択した。増田望三郎議員らが提出した「廃止を求める意見書」は、賛成少数で否決された。

 前者の意見書は、最大会派の信政会小松洋一郎議員が提出。政和会と公明党の2人が賛成者に名を連ねた。機密が漏えいしない体制整備の必要は十分理解できるとしたうえで、特定秘密の定義と範囲が不十分で民間人も対象とする罰則規定を盛るなど報道の自由を制約する可能性があるとの指摘されているーなど問題点をあげ、反対が高まっているとし、「本法の適正な運用方法を早急に確立することが求められている」と結論付けた。

 質疑や討論では、「廃止を求める意見書」を提出した側の荻原勝昭議員や小林純子議員、共産党議員らが「適正な運用方法とは具体的に何か」、「秘密には際限がなく欠陥のまま成立した法をどう改正すればよいのか」「法の運用者の裁量には期待できない」「〝その他〟が36カ所も出てくる。法にその他なんてあるか」などと質した。
 政和会の松枝功議員らが「法の目的には賛成できる。不十分なところはあるが、国の専門家がきちんとした法にするよう市議会として説明責任を求めていく」などと賛成意見を述べた。
 採決で賛成起立しなかったのは、小林純子議員、荻原勝昭議員、増田望三郎議員と共産の3人だけだった。

 「廃止を求める意見書」は、「この法は〝何が秘密かも秘密〟というもの。政府が秘密と判断すれば秘密。範囲は拡大され、公務員のみならず一般市民まで処罰対象となる中身。国民主権や知る権利など基本的人権が侵される。強行採決でなく慎重審議すべきだった。安曇野市長も深く憂慮しており、市議会は法の廃止を求める」とした。
 質疑では、反対する多数派が「廃止意見書を提出しても、廃止に向けて前へ進む可能性ないなら無力だ。廃止意見書には反対」などと述べた。採決の結果、賛成起立したのは小林、荻原、増田議員と共産の3人。多数派は反対した。二つの意見書の支持はくっきりした対照になった。
 可決した「適正な運用方法を検討」を求める意見書は、内閣総理大臣と衆参議長あてに提出される。

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 12月定例市議会はこのほか、平成25年度の一般会計を歳入歳出それぞれ1億7千8百万円を追加し、総額399億5千6百万円とする補正予算など183議案を可決した。
 (安曇野市を考える市民ネットワーク・横地泰英)

◆議員提出議案第20号「特定秘密保護法廃止を求める意見書」に対して
 小林じゅん子は賛成討論を行いました。
 日本が国家安全保障上、秘密にしなければならないことは当然あると思います。しかし、“国家の安全保障のため”という目的をはるかに超えた、曖昧で広範でな裁量権を認めてしまってよいものでしょうか。
 国民の知る権利はどこまで護られるのか、秘密の範囲や秘密指定・解除に関する懸念など、充分とはいえない国会審議のなかからも多くの疑問点が出てきました。国民が不安、不信を感じるのは当然です。

 2001年の9.11同時多発テロ事件の際、外務大臣だった田中真紀子氏が、アメリカからの機密情報を記者団に喋ってしまったという事件がありました。政府の要職に就く者の危機管理意識のレベルが低すぎるということに起因して、この法律が準備されたという、一つのエピソードですが、そうであるならば、すでにある法律の不備を見直せば事足りることです。
 ところが、この特定秘密保護法は、国家安全保障会議設置とセットで進められたことで明らかなように、一般的な秘密の保全というよりは、軍事的な側面が強いものです。テロ対策として、一般人をも監視対象となることや、共謀・教唆だけで捜査可能としています。

 思い起こせば昨年4月に公表された自由民主党の日本国憲法改正草案には「国防軍」の創設とともに、機密保持法制の整備が明記されていました。秘密保護法の制定は、政府与党自民党の軍事大国化を目指す流れの中で、かねてから制定が熱望されていたものです。
 気付くのが遅かったと、わたし自身悔んでいます。この国の形を変えるほどの法案にもかかわらず、あまり関心を持ってこなかったことを反省しています。
 しかし、想像力を働かせてみてください。国を左右する大きな出来事について、国から何も知らされないとしたら、突然ある日、いきなり戦争が起こったり、あれは原発事故だったと知らされたり、理由も分からずに逮捕されたりするかもしれない。特定秘密保護法はそういう危険をはらんだ法律なのです。

 「そんなことはありえない」という人は、国民の耳と口をふさぎ、戦争へと突き進ませた治安維持法を思い出していただきたい。政府は思いのままに解釈を拡大し、取り締まりを強化し、数々の弾圧を生んだ、その歴史に学ばなければなりません。
 「何が秘密なのか、秘密である」この言葉がこの法律のすべてを象徴しています。また国会審議から強行採決にいたるまでの過程は、民主主義の崩壊、破壊のなにものでもなく、そら恐ろしいものを感じます。特定秘密保護法は廃止するしかありません。
 以上、「特定秘密保護法の廃止を求める意見書」提出に賛成の討論といたします。

◆議案に対する議員別賛否については一覧をご覧ください。
 
議案等の賛否一覧 はこちらhttp://www.city.azumino.nagano.jp/gikai/info/2013/12/kekka2512.files/01.pdf