寡婦(夫)控除の適用/平成28年度保育料から実施

~安曇野市議会3月定例会
     小林じゅん子の一般質問(その1)~

2016年3月8日市民タイムス記事

2016年3月8日市民タイムス記事

【小林質問】 寡婦(夫)控除は、死別や離婚によって仕事や子育ての負担が増し、経済的に困窮することがないよう寡婦(夫)を支援するため設けられた税制上の制度です。当初の趣旨は子を持つ戦争未亡人の経済的困窮を救済することにありましたが、現在では死別や離別によるひとり親がその対象となっている。母子家庭だけでなく、父子家庭も対象になる。

しかし、所得税法上の寡婦(夫)というのは、法律婚(婚姻届)をしたことのある者と定義されているため、同じひとり親でも非婚の場合は対象にならない。そのため、非婚のいわゆるシングルマザーやファザーが控除がない分、納税額がふえ、税額に応じて負担する保育料などが高くなってしまうという不利益が生じている。

2年前からみなし適用を実施している八王子市の試算によると、年収約201万円で2歳の子供がいる非婚のひとり親の場合、結婚歴のある場合と比べ保育料が年額12万円以上も高くなっている。

本来は国の制度であるから国のほうで検討すべきことだが、その動きは鈍く、いつになるのかわからない。まずは自治体でできることから始めたらどうかということで、私は2013年9月定例議会の一般質問でもこのテーマを取り上げた。その後、みなし寡婦(夫)控除を適用する自治体は徐々に広がっている。安曇野市のみなし寡婦(夫)控除の取り組みの状況はどうか。

【市 長】この保育料に関するみなし寡婦(夫)控除の適用については、これまでも市単独事業でどのようにしたら実施ができるか検討をしてきた。県下19市のうち須坂市が実施をしているだけであったが、安曇野市では子育てに優しいまちづくりを推進していくために、市の子育て支援政策の一環として、保育料への適用については平成28年度保育料から実施をしていく。

【小林質問】 実際にどれだけのみなし寡婦(夫)控除の適用があるか、それほど多くないのではという数の問題もあって、現実的な検討に至っていないというのが県内の状況ではないかと思う。しかし、そういう方が1人でも2人でもあるということであれば、こうした安曇野市の取り組みがされるということは大変よろこばしいことだ。
保育料のほかに適用できるものがないか、検討状況はどうか。

【福祉部長】 みなし寡婦(夫)控除に関係する所得や課税・非課税を基準とするサービスは多岐にわたっている。その全ての事業に適用させるべきかどうかということは、これからの研究の課題である。

【小林質問】 市営住宅使用料について、みなし寡婦(夫)控除の適用ができないか。

【都市建設部長】 寡婦(夫)控除に関しては、国の公営住宅法施行令の一部改正により、公営住宅の入居者の収入算定上、寡婦(夫)控除の対象とするということになった。この改正施行令は平成28年10月1日から施行されるので、同日以降に入居される方から対象となる。なお、本年9月30日以前から入居されている方については、平成29年度の家賃算定から適用される。

【小林質問】 放課後児童クラブ(学童保育)の利用料について、みなし寡婦(夫)控除ができないか検討されているか。

【教育部長】 保育料への適用は28年度から行うということですので、児童クラブの利用料に関しても、みなし寡婦(夫)控除の適用になるように進めていく。

【小林質問】 介護保険料について、みなし寡婦(夫)控除の適用ができないか。みなし寡婦(夫)控除は、ひとり親家庭の生活の安定、経済的支援、子育て支援という観点から検討されているため、介護保険料と聞くとどういうことかと思われるかもしれないが、しかし、子供を育てあげた後、高齢者となってからも寡婦と未婚女性の間で寡婦控除による経済的支援に差が生じるという実態がある。市の条例で定めている介護保険料について、みなし寡婦(夫)控除の適用ができなか。

◆次の記事「寡婦(夫)控除の適用/介護保険料の算定には適用できず」に続く