紙の嵐でますます”すれちがい”に

予想はしていたけれどこれほどヒドイことになるとは

 町から、任意合併協議会から、住民団体から、嵐のごとく紙情報が舞い込んできます。「合併しなければ増税とサービス低下のダブルパンチ!」にはあきれたけれど、「合併すれば豊科町に全部を取られてしまう!」にもびっくり。穂高地域合併推進住民ネットワークと穂高町を自立存続する会、それぞれのチラシにはそんな見出しが躍っています。
 合併推進ネットワークが作った1枚目のチラシには、「合併すれば負担は少なく、サービスは高く!」とあり、代表の方に「ここ数年で合併して、実際に負担は少なく、サービスは高くなった所なんて聞いたことがない。どうしてこうもはっきりと言い切れるんですか。」と尋ねたことがあります。お答えはなんと「合併したらそうなるように頑張る、という努力目標」だと。今回のチラシも相変わらず「カネの話」ばかり。それも合併しなければ大きな負担がかかると断言し、かたや合併すれば公共料金など低い水準に調整、維持可能と言う。維持しますとは言わずに可能というのは、できる見込みがある程度にすぎないからです。
 一方、穂高町を自立存続する会では、チラシの他にマンガ仕立ての小冊子も配布しています。いくらなんでもこっちには「豊科町に・・・ 」なんてセリフは出さないはずと思ってページをめくると、いやはや次々と出てくるではありませんか。合併するときには必ずといっていいほど「地域エゴ」のことが問題になりますが、これでは合併しなくても「地域エゴ」の塊みたいな穂高町になってしまいます。合併推進ネットワークが「合併しなければ穂高町は孤立してしまう」と言えば、自立存続する会は「合併すればみんな豊科にもっていかれちゃう」という。どっちもどっちの低レベルの話になっています。
 どちらの会の関係者からも「6月6日に勝たなければ意味が無い。これは作戦なんだ。合併にはもっと大事な話があることは分かっているが、難しいことを言っても大半の住民には理解してもらえないから」という言葉が返ってきます。本当にそうでしょうか。こんな中身の無い合併論議を聞かされて、住民投票に行く気がしなくなる人が増えるのではないかと、私はとても心配です。8日の合併講演会で小西先生が指摘した”すれちがいの構図”は、住民の間にも広がってしまいそうです。
 そうこうする内にも、平林穂高町長は穂高町商工会の合併懇談会で「特例債を有効に活用する」と発言していますし、村上豊科町長は総務省へ出向き、特例債が日赤病院の建設費として利用できるか尋ねています。特例債をあてにしては「いい合併」はできないというのに、こうなのです。やっぱり「カネの話」で合併するのかと情けなくなりました。
 それでも「紙の嵐」の中に、一つだけまともなものがありました。17日の新聞折込で届いた「かんがえよう、安曇野地域の合併」という任意合併協議会のチラシです。先日の小西先生の指導があったのでしょうか。合併と地方分権について、基本的なことを知らせる内容になっています。残念なのは、もっと早い時期に出してほしかったということ。合併論議の始まりの頃に出すべき資料だったと思います。