埼玉県志木市への研修視察報告・8月5日訪問

住民参加の環境プラン作りとファミリーサポート

 志木市は埼玉県の南西部に位置し、都心へは25キロメートル圏でベッドタウンとして急激に都市化が進んでいるところ。古くは新河岸川の舟運を利用した商業のまちとして栄えたという。北東部には荒川が流れ、水田や自然も多く残る。
 01年に就任した穂坂市長は、市民参画型の「市民が創る志木市」を目指し、徹底した情報公開、開かれた行政評価制度の導入を進めています。行政パートナー(住民の有償ボランティアによる)の導入により、市民と30人から50人程度の職員が市政を運営する小さな自治体の構築を将来目標としていると聞き驚きましたが、視察が終わる頃には「それも可能ではないか」と思われるほど徹底した住民参加の道筋ができつつあることが見てとれました。
 行政パートナー制度については今回の視察目的には入っていなかったのですが、思いがけずお世話になる機会があり(写真:志木小学校受付の行政パートナーさん)、まさに志木市に来たことを実感させられました。志木駅に着いて市役所訪問まで1時間ほどあったので、その道すがら市立図書館に寄ってみようということになり、タクシーに任せるままに着いたところが志木小学校。「えっ?小学校?図書館じゃないの?」と、とまどっている私たちを助けてくれたのが行政パートナーさんだったのです。
 昨年4月に開校した志木小学校は、公民館の「いろは遊学館」と市立図書館との複合施設として立替えられたもので、施設全体は自由に行き来ができるようになっています。そのことで市民と児童が日常的に交流でき、オープンでありながら多数の市民の視線や気配りにより、安全が保たれているのです。穂高町でも建替え時期が迫る小学校があり、この複合施設型の構想は参考にしたいところ。
 行政パートナーさんが気を利かせて、図書館や公民館と連絡をとり、夏休み中の小学校も含め施設全体を案内してくださったのには有難いの前にビックリでした。突然訪れた私たちを快く受け入れてくれたことは、行政パートナーに見学者への対応など任されている(権限がある)ことの表れで、この制度が見せかけでない本物の住民参加になっていることがよく分かりました。
 市役所でも行政パートナーさんの受付・案内で会議室へ。本題の住民参加の環境プラン作りとファミリーサポートについて、これはさすがに職員さんでしたが、詳しく聞くことができました。「人とひとが織りなす、川のまち志木」と呼ばれる志木市環境基本計画は、国の環境基本法制定を受けて99年に策定され、環境保全のための住民との協働が進んでいました。穂高町の環境基本計画は、やっと昨年から策定に取り掛かったところで現在進行中とあって、志木市でのこの取組は大変参考になりました。
 ファミリーサポートは01年から始まり、現在お願い会員215名、任せて会員28名、どちらもOKの会員30名で合計273人、市の子育て支援課に配置されたアドバイザーが中心となって運営されているとのこと。首都圏の志木市であれば、民間の一時保育サービスも多く、ファミリーサポートに頼る部分は少ないかと思っていたのですが、住民にも周知され年々利用も増加傾向でした。穂高町ではこの秋からのスタートを目指しているので、あれこれと具体的な質問に実際的・実践的に答えていただいたことは何よりの収穫でした。
 志木市は急速に都市化しているところでありながら、住民がまちへの愛着を持てるような、憩いとやすらぎをテーマとしたソフト面のまちづくりに取り組もうとしているのが特徴的であり、強く印象に残りました。このことはまた、穂高町や合併後の新市にも必要なことだと再認識させられました。