安曇野菜園㈱第3四半期の経営状況

なぜ産業観光部の名前で第3四半期の状況報告をするのか

 8月8日の議会全員協議会で、安曇野菜園㈱(旧株式会社三郷ベジタブル)の経営状況などについて報告がありました。
 安曇野菜園㈱は8月31日が決算期、ということはもうほとんど第5期が終わろうとしている時に「第3四半期(5月末まで)の状況報告」というわけですから、何のための報告なのか、遅いとしか言いようがありません。それも、報告書をよく見てみると、たったの2ページというのも驚きますが、もっとビックリなのは報告者が安曇野菜園㈱ではなく、単に産業観光部となっているところ。安曇野菜園㈱から聞いた話を、産業観光部が代弁しただけということなのか、まったく無責任な報告書です。あまりにあっさりとした報告書なので、全文ここに掲載できるほどです。以下の通りですので、ぜひ目を通していただきたい。とても報告書と言えるものではありません。

1、第5期売上実績について
 平成20年5月末までの売上実績は、規格品3品種で354,133千円であり、これに規格外12,895千円を加えた合計が367,028千円(計画比90.4%)となった。
 売上減少の要因は「デリカ」の3月及び4月にそれぞれ計画比50%以下となったことにある。これは、冬期間に温度管理を誤り小果及び空洞化の発生を招いてしまったことによると考えられる。また、「プラム」の3月及び4月にて計画比80%以下となったが、「プラム」の生産能力からすれば実績生産量が上限であり、生産見込みに無理があったと判断している。今後の反省としたい。

2、暖房費について
 平成19年9月から平成20年5月までの暖房費(LPG費用)は、98,801千円であり、計画比82.2%と抑制できた。暖房費を抑制できたのは、①12月に温室の周囲にシートを張る工事を実施して、温室の保温能力を高めたこと ②1月以降にガラス洗浄を実施して、光線透過率を高めたことにより日射による暖房効率が高くなったこと ③2月以降の暖房の制御方法を、それまでのコンピューター制御のみの方式から、手動調整を加えたよりきめ細かな方式に変更したことなどによると考えている。また、LPG使用量が第5期には995tだったが第6期には700t以下に抑えたいと考えている。

3、予測損益について
 売上額が減少したが、より経費を抑制することができたので、当初計画の数値内に抑えられる見込み。

 以上ですが、これで皆さんは納得できるでしょうか。
 私は非常にイイカゲンな報告書だと感じました。
1、では「規格外12,895千円を加えた合計が367,028千円(計画比90.4%)となった」と言っていますが、これまでの報告には規格外を加えたデータなど出していません。規格外は、あくまで規格外です。都合よく規格外トマトの売上をプラスするところが、信用なりません。「冬期間に温度管理を誤り小果及び空洞化(果?)の発生を招いてしまった」というのも初めてではありません。5期目にもなってまだそんなことでは困ります。「生産見込みに無理があった」に至っては、言い訳にもなりません。

2、では暖房費(LPG費用)の節減に努め、その成果があったと報告していますが、評価したい半面、それでは今までいったい何をやっていたの?と言いたい気持ちにもなります。なにしろこれまでは年間通じて(真夏でも)LPGを焚いていたのですから

3、については、「当初計画の数値内に抑えられる見込み」と書いてあるだけで、当初計画の数値さえ明記していません。上半期の数字が出た時にも、「生産量の計画値を見直した」としながら、見直し後の予測損益の数字は見当たらず、当初計画の数値がそのまま出ていました。ようするに、「これはあくまでも途中経過の数字ですから」と言い逃れできるようになっている、ということなのでしょう。

 その他にも、6月議会一般質問で答弁保留になっていたことについて、その説明もありました。①上半期決算報告のトマト販売の計画値が、経営改善計画の値と違っていることや、②これまで年間700〜800万円かかっていた産業廃棄物処理費用が、上半期わずか7万円だったことについて、「後で調べてお答えする」というのが、なんとこの日まで待たされたわけです。
 その説明も、「どうして数字がちがうのか」に対して「間違っていました」、産廃処理費については「7万円の内訳は資料の通りです」と、ただそれだけ。どうして間違えたのかとか、年間700〜800万円かかっていたものがなぜ7万円か、などと問い質したところ、産業観光部長は「報告書にある以上のことはわからない」というような言い方で、答弁を拒否するかのような態度。

 安曇野菜園㈱の筆頭株主である安曇野市が、「わからない」ですましていていいのでしょうか。そんなことで、経営改善が進んでいるのかチェックできるのでしょうか。市の三セク・公社改善促進プロジェクトは、この報告をどう判断しているのでしょうか。