三郷ベジタブル関連住民訴訟第4回口頭弁論

賃貸借契約書があるのに賃貸借契約ではない?!

 三郷ベジタブル(安曇野菜園)関連の住民訴訟は、21日に第4回の口頭弁論が長野地裁において開かれました。
住民監査請求を起こしてから早や1年、住民訴訟に持ち込み法廷が開かれてから8ヶ月、決着はいつになるのかまだ見当もつきません。それに、裁判に訴えたからといって、安曇野菜園(旧三郷ベジタブル)の経営改善が進むわけではありませんから、「旧三郷ベジタブルを潰したいのか生かしたいのか、アナタの行動がワカリマセン」といった批判をいただくこともあります。
しかし、将来性のないトマト栽培の事業を、ズサンな計画により強引に進めた旧三郷村行政と村長(現安曇野市の副市長)の責任を明確にし、今後二度とこのようなことがないようにするためには、公的手続き(住民監査請求、住民訴訟)を使うことしか残されていませんでした。市議会の追及も甘く、市の監査委員も「身内の監査」はやりにくいらしく、問題は先送りされるばかりだったのですから。 住民訴訟といっても、訴えうる違法性は限られており、勝訴の可能性も高くはありません。行政が訴えられた場合、裁判所は「行政の無謬性」にこだわります。行政が間違えるはずがないと思い込んでいる(信じている)ので、行政側が敗訴する判決など書きたがらないのです。
しかし、たとえ私たちが敗訴したとしても、住民訴訟を闘うプロセスそのものが、第三セクターや三郷ベジタブルの問題を市民に明らかにすることにつながり、そこに大きな意義があるのではないでしょうか。ウヤムヤにしてはいけない重要な問題であり、市民からの問題提起が今後の市政に大きな影響を及ぼすとともに、住民自治への関心を高めるキッカケになると考えます。

以下は、第4回口頭弁論の報告です。
「三郷ベジタブルの経営改善を望む市民の会」の横地泰英さんの報告です。

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◆第4回 口頭弁論の報告
8月21日(木) 16:45開廷 16:57閉廷 長野地裁法廷
裁判長 近藤ルミ子裁判長 ほか2名の裁判官
原告側 原告2名と中島嘉尚弁護士 傍聴人5名
被告側 宮澤明雄弁護士ほか1名 傍聴人2名(安曇野市職員)
報 道 2社記者

最初に裁判長が、8月12日に原告提出の訴状について確認。三つの裁判が平行した状態になっているので、整理併合する必要がある。中島弁護士は「指示に従い整理する」と説明。被告弁護士から2、3の質問があった。

◆徐々に浮かび上がる争点
〜 賃貸借契約書があるのに賃貸借契約ではない?!〜
そのあと、裁判官が被告側に確認を求めた。裁判争点の認識を問うもので、「(トマト生産設備の)賃貸借契約の有効か無効かを争っているが、設備は行政財産にあたるか」との問いに対し、被告側弁護士は「行政財産であることに争いはない。それが前提」と答えた。

裁判長が「公共性について対立はないか」と聞き、裁判官が「(行政財産の)貸付はできないが」と念を押したのに対し、被告弁護士は「こちらが提出した準備書面3ページに、貸付ではないとしている」と答えた。さらに裁判官が「では、賃料の支払いは? 賃料でないのか」と聞くと、「そうです」と被告側は肯定。賃料ではなく「指定管理費である」という認識を示した。

原告側弁護士は「意味が分からない。はっきり賃貸借契約と明記されているではないか」と疑問提起。被告側は、実態は賃貸借契約ではなく、指定管理者としての業務委託契約。費用負担は、場合によってはないこともある、と主張。今後、争点になっていくことが予測される。

◆閉廷後、弁護士会館で中島弁護士からレクチュアを受けた。
その内容要旨は以下の通り。
被告側は「すでに時効である」と主張したいようだ。また、被告側の答弁書をみると「賃貸借契約ではない」と言い出している。賃貸借契約ではなく、指定管理者としての業務委託契約であり、賃料の変更は契約の変更。契約であれば、私権の設定にあたるとしている。このあたりは、こちらも反論しないと答えてこない。損失補償契約については、原告側も主張を補充したい

整理併合した三つの裁判は、①賃貸借契約の前提として、支払期日の定めがないのは無効②八十二銀行、農協との損失補償契約は無効。長野銀も同様損失補償契約を結んだ③賃貸借契約そのものも無効。それによる不当利得の返還。裁判所は、次回口頭弁論までに併合するよう、原告・被告に求めた。

次回口頭弁論は10月23日(木)16時〜傍聴者募ります