「プロポーザルの選考評価調書」は事実上の非公開

あまりにワキの甘い今回のプロポーザル(業者選定)

 本庁舎等建設基本計画策定補助業務のプロポーザル(注1)について、今日もまた報告です。
 「プロポーザルの選考評価調書」(採点表)は事実上の非公開、スミ塗り真っ黒けで出てきたことは既に報告したとおり。
 その後、12人の審査委員の採点を集計したものがあるはずだと考え、問い合わせたところ、準備室長は「そうですねえ・・・、あるかないか調べてみますので、お待ちください」という(驚くべき対応)。準備室で選考評価調書の得点の集計をした結果、最高得点のS社に決まったのですから、得点の集計表のことを知らないなんて、そんなバカな(あり得ない)と思いましたが、黙って返事を待ちました。
 50分後の返答は「公文書としてはないですが、採点した時の表のようなものはあるので、公開できるかどうか検討してご連絡差し上げます」。

 「公文書としては無い」とは、いったいどういうことか。業者選定の根拠となる採点表(評価・得点の一覧表)が公文書でないというなら、選定結果の公正性はどうやって担保されるのでしょうか。公文書ではないから情報公開の対象にならない、とかうまいことを言って出さずにすまそうとしているのでしょうか。評価調書も真っ黒け、評価調書の得点を集計した表も無い。

 いったいどんな方法で審査をしたのか、公平公正に行われたのか心配になり、審査委員の一人に話を聞きました。
・審査委員会を開いて審査をしたのではないのか。
→審査に必要な文書(応募各社の企画提案書、添付書類など)と評価調書(採点表)を審査委員が預かり、1週間のうちに各自が審査し評価調書に記入し、定められた期日までに建設準備室へ提出する、というかたちで審査した。

・評価調書は密封して提出するものではないのか。
→12人の審査委員は各自の都合により1週間のうちに審査をして、記入した評価調書を密封することなく、評価・評点が見える状態で提出した。

・提出された評価調書をどのように保管したのかはわからない。
・審査結果は建設準備室から文書で報告されたが、各社の総合得点が示されていただけで、その得点の根拠となる集計表のようなものは付いていなかった。

 ざっと、こんな内容でしたが、審査期間の1週間というもの評価調書がむき出しのまま関係者に接触可能な状態に置かれていたことになり、この一点をとっても「審査の公平を期す」という意識がまったく無かったことを示しています。また、建設準備室で担当職員が評価調書の得点を集計し、審査結果を各委員に文書で報告したとのことですが、その前に、審査結果の内容に誤りがないことを各委員が確認する必要があります。そのためには、全委員の評価調書をまとめた集計表(一覧表)が提示されなければなりません。各社の合計点だけ見せて、「S社に決まりました」。「ハイそうですか」で終わり。そんなやりかたでいいわけがありません。

 「性善説」を前提にした、このような緊張感のない審査では、官製談合かと疑いをもたれても、説明がつかないではありませんか。プロポーザル方式による業者選定のメリットは、一方では談合の温床になりかねない危険をもはらんでいます。公正性、透明性が確保されるよう最大限の配慮が必要だというのに、あまりにワキの甘い今回のプロポーザルには開いた口がふさがりません。

(注1)「プロポーザル方式とは、主に業務の委託先や建築物の設計者を選定する際に、複数の者に目的物に対する企画を提案してもらい、その中から優れた提案を行った者を選定すること。「プロポーザル (proposal) 」は「企画、提案」の意味。