トマト栽培施設の指定管理者はエア・ウォーター農園に決定

安曇野菜園、来月末に清算へ

 今朝の新聞報道で「トマト栽培施設の指定管理者はエア・ウォーター農園に」のニュースはご存知かもしれませんが、正式には本日の臨時議会で指定管理者が決定しました。
 それにしてもです。宮沢市長は臨時会の開会の挨拶のなかで、議案と直接に関係ない「損失補償契約は違法・無効」の高裁判決を持ち出し「そのために菜園は融資を受けることが困難になり、倒産の危機に瀕している」と発言。事の本質から目をそらそうとするその姿勢には、本当にがっかりさせられました。
「三郷ベジタブルの経営改善を望む市民の会」の横地泰英さんのレポートを掲載しますので、ご覧ください。

《安曇野菜園、来月末に清算へ / エア・ウォーター農園に売却決定》
 安曇野市のトマト栽培第3セクター安曇野菜園(旧三郷ベジタブル、村上弘志社長=副市長)を、北海道の民間農業生産法人エア・ウォーター農園に売却する案が2011年2月15日、安曇野市議会で可決された。安曇野菜園は7年前に発足していらい、ほぼ赤字続き。総事業費約20億円のうち、同社所有施設に払われる売却費は3億800万円。県公社へ支払う土地代1億5074万円と合わせて計4億5874万円で売却されることになった。

 エア・ウォーター農園は、産業ガス製造販売のエア・ウォーター(大阪市)が出資して2009年11月設立。札幌市に本店、千歳市の農場で2010年9月からレタスなどを栽培出荷している。資本金500万円の小さな会社だが、4月からは安曇野菜園から引き継ぐ取引先カゴメ向けのトマト栽培も始める計画だ。社長は、元大阪府知事の太田房江氏。親会社エア・ウォーター社代表取締役は旧梓川村出身の青木弘氏。梓川村の第3セクター、ファインフーズ梓川の譲渡を受けている。

 市が公募した安曇野菜園に代わる指定管理者には3社が応募したが、市は「審査委員会が厳正精査した結果を受けて決めた」と市議会で説明した。安曇野菜園に支払われる3億800万円の使途は整理に入ってから決まるが、安曇野市との損失補償契約に基づく金融機関から借入金、光熱費などの借金だけで3億円を超し、大半はこれらの返済に充てられる見通しという。

 安曇野菜園問題を追及してきた小林純子市議はこの日の全員協議会、本会議で市の提案に反対。菜園が毎年納付するはずだった使用料は一度も払われることなく昨年、免除が決まり、23年以降の分まで納付免除となった経緯がある。小林議員は「使用料について議決が要らない賃貸借契約で決められていたことに、東京高裁は苦言を呈した。その判決後なのに、また市長決済だけで決めようとしている。もっときっちりやってほしい」と追及した。

 4億5874万円で売却することについて小林純子議員は「菜園に3億円、県公社に1億5000万円。ありがたい条件のようだが、不確定要素が多い。菜園の立地条件はトマト栽培には厳しい。エア・ウォーター農園側は知っているのか」「施設維持には費用がかかる。市と会社はそのつど協議して決めるというが、結局市民負担が増えるのではないか」と疑問を投げかけた。これらについては共産党市議らも追及したが、「市民に急激な負担がかからない形で」という市側説明に市議の多数が同調した。

 宮沢宗弘市長は「菜園売却の結論はもうすこし先の時点で決めることにしていたが、昨年8月30日の東京高裁判決で損失補償契約が違法と判断され、資金調達が厳しくなった。上告受理申請したものの、万一倒産ともなれば、補助金返還などで大きな負担を抱えることになる。県とも相談し、新たな指定管理者を公募することにした」と本会議議決前に説明した。
 小林純子市議がひとり原告となって取り組んだ控訴審判決は、税金無駄遣いの三セク行政の見直しにつながったといえる。しかし、安曇野市の「問題の先送り体質」は相変わらずであり、今後に大きな疑問と不安が残る。(報告・横地泰英)