安曇野市議会の議会改革が動き出す

「ちょっとまて、その議会改革は誰のため」は安曇野市議会のために

安曇野市議会の例規集ファイル
安曇野市議会の例規集ファイル
 ここへ来てやっと安曇野市議会の議会改革が動き出しました。
 会派代表者会議でまとまった見通しでは、今秋9月定例議会に(定数減を盛り込んだ)議員定数条例の制定を目指すとのこと。
 そして、来年の6月定例議会には議会基本条例を議員提案して成立させ、議員改選前の9月定例議会で、一度なりと条例に則った議会運営をしてみようということらしい。

 「議会の公開度を高め透明性をもたせる」、「市民にとって身近な議会とするため」とはよく言われることですが、議員のなかには「条例でハッキリ決めておかないと、議会運営に迷って混乱する」、「議長裁量とか議運に一任といわれても判断に困る」から、条例でキッチリ決めておいてほしい、という発想があんがい多いのです。議員や議会に(もしかしたら行政にも)都合よい「円滑な運営」のために条例を作るという発想に対しては、議会基本条例は、そもそも誰のために、なんのために作るのかと問わずにはいられません。

 「ハッキリ決めておいて」ということなら、なにも条例に頼らずとも会議規則で決めれば充分です。それでなくても、議会の決まりごとはたくさんあって、首をかしげるようなものも少なくありません。たとえば、「先例」というものがあって、「会議における服装は、上着、ネクタイ(女性を除く)を着用するのを例とする」なんてことまで書いてあります。おまけに議長の指示がないと、暑くても上着を脱げなかったりする。
 もっとクダラナイ話では、私が穂高町議員だったときのことですが、「本会議場でスリッパを履いていない議員がいるので何とかしろ」=明文化されていないルールなので、誰が小林に注意するか議運でもめたということまでありました。(議運ではもっと大事な事を議論してほしい!)
 「小林さん、本会議場はスリッパにしたらどう」と話してみるとか、「なんでスリッパでなければいけないんだろう?」とか考えることをせずに、スリッパ着用を議会のルールにすることの方が、よほどヘンだと思うのですが・・・。

 法的効力の強さでランク付けすると、強い方から(憲法)、地方自治法、条例、会議規則と並び、以上は制定・改廃には議会の議決が必要です。その下に位置する要綱、規定、内規、申し合わせ、先例(過去の事例)については、議会の議決は不要なのです。なかでも最も拘束力が「ゆるい」のが先例なのですが、なぜか議会内においては最も効力を発揮しているのが先例、という議会が多いのも事実です。何のための議会ルールなのかに思いが至らないと、守らせることが目的と化したようなルールばかりが増えていきます。

 私もいろいろと議会改革につながることを提案してきましたが、やれスタンドプレーだ、売名行為だと批判され、今ここで必要とされていることについて、先例(前例)がないからというだけで議論の対象にもならす、ボツになるということを幾度となく経験してきました。これは議会に限らず行政の仕事でもそうですが、いかに先例(前例)が改革を阻んでいることか。はなはだしくは、「その場の空気」が左右するような「不文律」が幅を利かせることさえあります。私は、おそらく市議会のなかでは「KYな人」ということになっているのでしょう。

 そんなこんなで、安曇野市議会が議会基本条例の制定に向けて動き出したところではありますが、それは本当に必要なことなのか疑問をいだいていた私は、「ちょっとまて!その議会改革は誰のため?」というタイトルに引きつけられ、「第2回市民と議員の条例づくり交流会議in東海〜議会改革の本質を考える」(三重県・桑名市で開催)に参加し勉強してくることにしました。その報告は後日に。