住民訴訟費用を請求する補正予算案を委員会可決

安曇野市議会 住民訴訟の意義訴えに冷淡

 「三郷ベジタブルの経営改善を望む市民の会」の横地泰英さんの委員会傍聴レポートを掲載しますので、ご覧ください。

 安曇野市議会は2012年6月13日、環境経済委員会(丸山祐之委員長、委員5名)を開き、平成24年度補正予算案などを審査した。農林部所管の予算案には、三セク安曇野菜園をめぐる訴訟で被告安曇野市が原告・小林純子市議に市が請求する(注1)訴訟費用が歳入に盛り込まれた。

 小林市議らは①住民訴訟で行政は、勝っても負けても裁判の経費は税金でまかなう。②地方自治法に認められた住民訴訟の権利であるから、訴訟費用は民主主義の必要経費として自治体が負担すべき。③これまで、ほとんどの自治体は、訴訟費用の請求をしていない。前例、慣例になっている。安曇野市は、自治体行政さらには裁判の常識をくつがえすのか。④今後すべての訴訟について訴訟費用の敗訴者負担となれば、全国の自治体で終結を見た事件に悪い影響を及ぼす。請求にはより多くの費用がかかる、と具体的に理を尽くして主張。補正予算案反対を訴えた。

 これに対し市農林部長は「今回請求は宮沢市長の判断によるもの。5月1日会合で協議し、判決に基づき費用請求を確認した。請求する他の自治体が少ないことは承知しているが、法律家とも相談のうえ、市長が決めた」とこれまでの主張を整理して繰り返した。
 環境経済委員会審議は午後3時過ぎまで続き、討論で小林純子委員は「訴訟費用請求には異議。補正予算案に反対する」。同じ無所属連合の吉田満男委員も「この件は慎重に考えて行かねばならない。訴訟制度を育てて行く必要もある」と反対意見を述べた。しかし、他の委員3人は、いずれも賛成挙手。環境経済委員会所管の議案はすべて可決された。
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 訴訟費用については11日の本会議質疑で宮沢市長が小林議員の追及に対し「今回裁判では自治体の損失補償契約を違法とする高裁判決が示された。かりに上告後取り下げれば「契約無効を認めたことになる」と、最高裁判断を求めたのは「正しかった。市は敗訴人に請求する権利義務がある」と改めて述べた。
 裁判はもともと総務委員会の所管事項。農林部の予算問題だったため、環境経済委員会に付託された。
農林部は13日の審査で「総務委マターには答えられない」としていたが、午後の委員会最後に訴訟費用問題を回し、総務部と協議して市の考え方を整理した。

(注1)訴訟費用とは、いわゆる裁判費用や弁護士報酬ではなく、法律で定められた範囲の印紙代、旅費・日当、書類作成費等のことをいいます。

◆悪臭の湯浅産業退去の請願を採択 環境経済委
 安曇野市明科南陸郷区の廃棄物処理場・湯浅産業の退去を求める住民の請願が、13日の環境経済委で採択された。請願によると、同社はこれまで30年にわたり悪臭を出し続けていた。行政の指導、注意、改善勧告も効果なく、逆に施設拡大で悪臭が増大した。
 請願には1631筆の署名簿が添えられ、明科総合支所が民間委託した「臭気指数」の12年に渡る測定結果グラフが示された。平成21年以降、グラフは顕著な右肩上がり。
 採択は5委員全員が賛成挙手した。