訴訟費用請求に関する市の基本方針の見直しを求める請願

~12月6日の安曇野市議会総務委員会、賛成4:反対2で請願を採択~

 12月6日の総務委員会で、請願第13号「住民訴訟等に係る訴訟費用請求について市の基本方針の見直しを求める請願書」の審査が行われましたので、私も傍聴することにしました。
 請願団体の「安曇野市を考える市民ネットワーク」代表世話人の布山さんが、請願の趣旨や意見を述べるということで委員会に出席され、委員からの質問にも答えていただきました。

 じつは、これとほぼ同じ内容の請願を、私自身も会員になっている「三郷ベジタブルの経営改善を望む市民の会」が9月定例議会にも提出していました。
 しかし、安曇野菜園の裁判は住民訴訟とはいえ、市議会議員(私こと小林純子)が原告になるなど特殊な事情があるので、請願を採択するわけにはいかないという意見が多数を占め、不採択となったのでした。それでも、どんな裁判でも例外なく訴訟費用を請求するのはいかがなものか、検討しなおすことは必要だという意見も聞かれました。

 そこで、今回は、既に訴訟費用請求が確定している安曇野菜園住民訴訟に関わる請願項目は削除し、「判決により訴訟費用が請求できる場合は、どのような訴訟かに関わらず請求する」という安曇野市の方針を見直すことだけを請願したのでした。請願者も「三郷ベジタブルの経営改善を望む市民の会」は外れて、「安曇野市を考える市民ネットワーク」単独での請願になりました。

 総務委員会では、この点についてのこだわりが色濃く出た審査となりました。「今回の請願が採択された場合に、菜園訴訟のことをむしかえすつもりではないか」、「菜園の裁判のこと書いてるじゃないですか。ほんとに関係ないんですか」というような詰問調の質問が複数の委員から投げ掛けられました。 請願者は、その疑問について一つひとつ強く否定し、あくまでも一般論として「どのような訴訟かに関わらず請求する」ことが安曇野市の方針になったことに対して見直しを求めているのですとキッパリ。

 もう一つ、「判決で訴訟費用の負担が決められたのだから、法の判断に従って請求することでよい」という意見もありました。これについては、請願者から「訴訟費用の負担について判決が下っても、その後の訴訟費用確定の手続きには別途費用が発生する。たとえば、5万円の訴訟費用を請求するために10万円かかってしまうということになりかねない。それだけでなく、せっかく裁判で決着したのに、訴訟費用の請求などすれば市民感情を損ね、問題をむしかえすことになり、市政運営上も望ましいことではない。そのような配慮から、これまで自治体が原告市民に訴訟費用を請求することはほとんどなかった。」と反論。
 そもそも住民訴訟は地方自治法に認められた市民の権利である。にもかかわらず、敗訴したら訴訟費用まで請求されるとなれば、訴えを起こすこと自体に消極的にならざるをえない。訴訟委縮効果をもたらすことになる。松本市ではその点を考慮し、訴訟費用を請求しないという政策的な立場をとっているという事例の紹介もありました。

 このようなやりとりが委員と請願者の間で交わされた後、委員からは採択に賛成の討論2名、反対の討論2名があり、採決の結果、賛成4:反対2で請願は採択となりました。

 委員会が終了した後、傍聴に来ていた市民の方々と立ち話をしたのですが、「判決で訴訟費用を請求できるのにしないのは、血税をムダにすることになるので請求すると、宮沢市長が言ったそうだが、安曇野菜園の問題で市は7億円もの債権放棄をしているじゃないか。10万円の訴訟費用を血税だと強調するなんて、どうかと思う。」という言葉が印象に残りました。私もまったく同感です。