〝改善の必要〟が17カ所/三郷小倉の産廃擁壁

~市民ネット横地泰英さんから届いた傍聴記です~

〝改善の必要〟が17カ所/三郷小倉の産廃擁壁
   安曇野市が委託調査結果を公表 

調査結果の一覧表~赤色の部分が基準を満たしていないところ

 安曇野市は2013年8月27日、9月定例議会環境経済委員会(丸山祐之委員長/委員4人)に三郷小倉の住民から請願が出ていた産廃処理M社の外壁について、耐震調査などを依頼した建設コンサルタント会社長野技研の報告書を公表した。

 計算結果一覧表によると、壁面や杭の安定計算、断面計算の結果、全体で17カ所の改善必要部分があることが分かり、市は操業許可を出した長野県に「要望」を出すと委員会で表明した。
 6月定例議会に出された請願を継続審査にした環境経済委員会は9月9日に再審査し、17日には本会議で採決する。

 請願を出した住民たちは「操業許可に向けたM社の資料に不備があり、それを補正した今回資料でなお改善の必要が認められたのだから、県・市は操業を認めるべきではない」としている。

 午前の環境経済委と午後の市議会全員協議会(全協)で、小倉市民環境部長は「長野技研に依頼して6月11日と8月1日に現地調査したが、水平震度などで許容基準を満たさない部分があることが分かった。市としてはM社に改善命令を出す権限はないので、許認可権者である県に法に基づいて擁壁の安定性、震度5の地震に耐えるよう改善指導をするなど、強く要望することにした。
 小林純子議員が「市が改善命令を出せないのはなぜか」と質したのに対し、小倉部長は「廃掃法92条によれば、許可の主語は県知事であり、弁護士と相談の上、要望ということになった。擁壁計算書の不一致などはあるが、不正手段で許可を得たとはいえず、許可取り消しはできない。この点については、裁判でも争いになっており、法廷の判断が示されることになる」と述べた。

 報告書は「寸法測定、エックス線による配筋調査、鉄筋の電磁波探査など現地調査、構造計算の結果」、 ①擁壁の安定計算では「常時」の東側と西側擁壁で中に木屑(廃材)がない場合、安定許容値に満たない。鉄筋量が不足  ②部材の安全性を見ると、「地震時」あるいは「風時」の西側擁壁で鉄筋が有効に働いていない。③南側の一体構造擁壁では「風時」に鉄筋が有効でない。部材厚が途中で急変するため ④⑤圧縮(コンクリート部分)、引張(鉄筋部分)の両方で「地震時」「風時」とも許容応力を超過。部材厚不足、鉄筋量不足  ⑥杭基礎(H鋼)でも「地震時」に発生応力度が許容応力度を超過する部分があった。杭の配置位置が原因―などと改善点をあげた。

  午後の全協では、説明に入ろうとしたところで、小林紀之議員(議運委員長)が「今日はあくまでも報告ということで、質問は無しにしてもらいたい」と提案。市民環境部と長野技研の報告書説明が終わった時点で、小林純子議員が「西側壁の数値に疑問があるので確認したい・・・」と申し出たところ、高山一栄議長は「この問題は現在裁判で係争中であり、質問は受け付けない」として「報告終わり。質疑なし」と宣言。小林純子議員は「こんなことでいいの?!」と叫んだが、全員協議会は唐突に終わってしまった。                (報告=安曇野市を考える市民ネットワーク・横地泰英)