松枯れ対策に議論集中 安曇野市議会一般質問

~安曇野市を考える市民ネットワーク・横地泰英さんから届いた傍聴記です~

松くい虫発生のメカニズム(安曇野市HPより)

 安曇野市の12月定例市議会は2013年12月11日(水)、一般質問が行われた。この日最後に質問した小林純子議員は「森林を最大の資源ととらえ、松枯れ被害をも逆手にとって循環型エネルギーの利活用を進める施策、安曇野モデルを展開しよう」と呼びかけ、宮沢市長の決断を迫った。

 2日間で14議員が一般質問に立ったが、10日には松沢好哲議員が「安曇野で松枯れ対策の大プロジェクトを」と呼びかけ、11日には新人の竹内秀太郎議員が「安曇野の危機。被害木の全量処理へ事業集中せよ」と迫った。

 小林議員は①押野周辺の松枯れ激甚地域で実施された更新伐事業の評価と今後の進め方②市の観光拠点、西山・山麓線地域も松枯れ拡大必至。どう対処③薬剤散布や焼却処分より安曇野の特性を生かした対策を考えるべきだ、と質した。

 宮沢市長は「松枯れ対策はきわめて重要。県は何十年、数十億円使って取り組み、市も数億円を投じてきたが、収まる兆しが見えない。自然エネルギーを有効活用するため、天平の森に薪ボイラーを設置した。わずかな量だが、費用対効果を検証する。市公共施設、山麓線の温浴施設にもボイラー3機を導入する。更新伐には地域の理解が必要。里山に関心を持ってもらいたい。県が塩尻で進めているバイオ発電、Fパワープロジェクトに期待している。早く実現してほしい」と当面の対策を説明した。

 小林議員は「西山は観光拠点で、東山と異なる。どう対応するか」と聞いたのに対し山田農林部長は「西山は別荘地で、所有者不在も多い。地主との交渉、更新伐は厳しい。緊急に区長や山林関係者を集め、状況説明や対策を説明しなければならない」と多くの難問があることをを強調。大内商工観光部長は「しゃくなげ荘は、安曇野観光の玄関口。松枯れ対策で樹種転換のモデルにしたい。しかし、別荘地での更新伐、間伐は難しい。個人の庭であり、補助金は出ない。独自補助ができる体制をつくらないと…」とハードルの高さを説明した。

 小林議員は「安曇野だけでは解決困難だからこそ、先頭に立って発信しよう。そうすれば国・県も手を差しのべる。山麓線周辺は別荘地で、山林とはいえ個人の庭、市独自の補助金制度が必要。被害木を伐って薪に作りボイラーで焚くという、循環型エネルギー利用のストーリーがしゃくなげ荘周辺で見える形にしたい。市民レベルでも、協働のまちづくりに通ずるプロジェクトが立ち上がっている。ピンチをチャンスに変える。市長、検討でなく決断を」と強く迫った。
 宮沢市長は「各部局連携し、さらに実効性を高める。いい方向へ持って行く」と答えた。
 (傍聴=安曇野市を考える市民ネットワーク・横地泰英)