特定秘密保護法について議員が意見交換

~会派の縛りか自己規制か、それとも何も考えていないのか~

2013年12月20日の市民タイムス記事

 安曇野市議会では12月19日(木)朝9時から、特定秘密保護法について議員が意見交換をしました。13日の総務委員会で「特定秘密保護法制定をしないことを政府に求める請願」が、その内容ではなく手続き上の問題で不採択になったことを受けて、「不採択は致し方ないが、請願の趣旨を生かして市議会として意見書を出したらどうか」ということになったからです。
 ただ、意見書を出すにしても、「法律の慎重な運用を求める」のか「法律の廃止」なのか、はたまた「意見書の提出はしない」のか、委員会だけでは決められないので全員協議会で話し合おうということになったのです。議会基本条例もできたことだし、議員間討論や合意形成を丁寧にするべきという意見もあって、すんなり「全員協議会で意見交換」することが決まりました。
 議会基本条例がなかったころの安曇野市議会だったらきっと、「意見書を出すなら提案者がそれぞれ取りまとめてくれればいい」で終わりだったと思います。私が議員年金制度の廃止を求める意見書提出を提案した時がそうでした。議会基本条例を作っておいてよかったと思いました。

 さて、よかったなと思ったのはそこまで。19日の全協での意見交換は、9時から始めた(昼まで3時間もある)のに、1時間したところで「キリがないから・・・」と終結。私は2回発言しましたが、一度も発言しない人が半数もいるというのに「キリがないから」と予定通り1時間で終わりにしてしまう議長の議事進行には大いに疑問を持ちました。
 特定秘密保護法は一般市民からも不安や不信の声は高く、ましてや議員にとっては一言も二言も言いたいことはあるだろうに、この静けさ、この熱の無さは何だろうと思いました。公明、共産と無所属議員3名のほかは発言は少なく、聞いているだけの議員がほとんどで、意見交換とは程遠いものでした。
  結局のところ意見書について合意には至らず、「慎重運用を求める」と「廃止・撤廃を求める」、そして「意見書提出の必要はない(公明党)」の三つの意見があることが分かった、というところでおしまいでした。傍聴者が十数名はあったでしょうか、おそらく肩すかしを食らった気分ではなかったでしょうか。

 会派で事前に一定の考え方にまとめてきているので、全協では会派代表なり一家言ある人が発言すれば、ほかの人たちは黙っていた方が無難。そんな雰囲気さえ感じられました。「正直なところ秘密保護法についてはよく分からないから、会派の考えに従う」という人もあれば、「自分は廃止を望むが、会派にいるかぎりは妥協するしかない」という人もあり、結局は黙っているしかなかったのでしょうか。
 こうなるともう、会派で否応なくまとめてしまってからの意見交換ですから、意見交換することによって再検討したり、気付いたり、考えが変わったりという可能性はほとんど無いということになります。
 そんな流れがよく表れているのが20日市民タイムスです。19日の意見交換会の記事ですが、議決はこれからだというのに、会派の意向をまとめてもう決まったかのように書かれています。

 このように会派制が個々の議員活動よりも優先している安曇野市議会の現状では、このままいくと「議員相互の自由な討議を尊重すること」、「議員相互間の議論を尽くして合意形成に努める」と明記した議会基本条例が有名無実になりかねません。そもそも、特定秘密保護法を云々する前に、会派内では言論の自由はあるのでしょうか?
 安曇野市議会基本条例第5条は「議員は、議会活動を行うため、会派を結成することができる」となっています。「会派を結成することができる」ということは「会派を結成しなくてもいい」のだということなのですから、会派制の問題に早く気付いて方向転換していく必要がありそうです。しかし、そうはいっても、個々の議員の方向転換を困難にしているのも会派制なので、これはそう簡単なことではなさそうですが。