選挙ポスター印刷代と「選挙公営」のあり方は?

~安曇野市の議員や市長の選挙の「選挙公営」の条例が改正されました~

2013年安曇野市議会議員選挙ポスター掲示板

安曇野市の議会の議員及び長の選挙における選挙運動用自動車の使用等の公営に関する条例という長い名称の条例の一部を改正する条例案が審議されました。この条例改正は公職選挙法施行令の改正に伴って、安曇野市の選挙公営における選挙運動諸費用に関する金額を改める(アップする)というもの。

この説明では、まだよくわからないと思いますので、「選挙公営」の説明からいきます。「選挙公営」とは、資金力のあるなしにかかわらず(おカネが無くても)、立候補し選挙運動の機会を持てるようにする制度で、選挙カーやガソリン代、選挙ポスター代などに、市の選挙の場合は市から一定の補助があります。ポスターに関しては、ポスター掲示板が457箇所ありますから、500枚印刷するとしても結構な金額になります。補助により印刷代の心配をしなくていいので、立候補者は大変助かります。(ただし一定の得票数に達しないと、補助対象にはなりません。)

ただ、これまでの安曇野市の選挙公営においては、各立候補者にとって著しく金額が不足しているという実態はないと思われ、特にポスターに関しては、実勢価格よりかなり高目の限度額を設定しているので、これ以上に限度額を上げる必要はないと考え、私はこの条例改正には反対しました。
以下、小林じゅん子の反対討論です。

安曇野市の議会の議員及び長の選挙における選挙運動用自動車の
      使用等の公営に関する条例の一部を改正する条例に対する反対討論

公職選挙法施行令の改正に伴い、選挙運動諸費用に関する金額を改めるものであるとのことですが、これまでの安曇野市の選挙公営において、各立候補者にとって著しく金額が不足しているという実態はないと思われます。

特にポスター製作に関しては、これまでも実勢価格よりかなり高い限度額を設定しています。一例として私の場合、前回の選挙でポスター1枚の印刷単価は284円で457枚印刷し公費負担は129,788円でしたので、限度額上限の半分以下でできました。

同じ選挙で限度額上限まで使った候補者は29人中10人でした。この金額の差が、選挙ポスターに現われていたかは、有権者の皆さんの判断にお任せるしかないですが(左上の写真をクリックするとポスター掲示板が拡大表示されますので、ご確認ください)、今回さらに限度額が上がるとなれば、コスト意識を持たずに印刷業者に丸投げで限度額いっぱい選挙公営を使う候補者が出てこないとも限りません。

また、もっと深刻な状況として、ここ10年ぐらいの全国の選挙で、公費負担のポスター代やガソリン代の水増し請求が表面化し、住民監査請求を受けて返還したり、詐欺容疑で書類送検されたりする事例が相次いでいます。

選挙公営の最大の狙いは、個人の財力などによって立候補の機会や選挙の公平性が失われることを防ぎ、おカネのかからない選挙を実現させることにありますが、そもそも国の基準自体が過剰なため、コスト意識を失わせたり、水増し請求等の不正を誘発したりすると考えられます。国の基準に追随するのではなく、安曇野市の地域性や実勢価格から市独自の基準で条例改正することが必要と考え、本条例改正案には反対します。

※この条例改正案に反対したのは小林じゅん子だけでしたので、賛成多数で可決されました。

条例改正後の選挙運動用ポスターの作成の公営については、以下のようになります。( )内が改正後の金額です。候補者の皆さんには、この金額の範囲内で、出来る限りコストパフォーマンスのいいポスターを作っていただきたいものです。

第9条 候補者は、462円88銭(525円6銭)にポスター掲示場の数を乗じて得た金額に82,400円(86,400円)を加えた金額を当該掲示場の数で除して得た金額に選挙運動用ポスターの作成枚数(当該作成枚数がポスター掲示場の数を超える場合には、当該掲示場の数)を乗じて得た金額の範囲内で、選挙運動用ポスターを無料で作成することができる。