「共謀罪(テロ等準備罪)」法案の廃案に関する陳情

~「廃案」?「廃止」?文言にこだわり審議したがらない保守系議員~

朝日新聞ホームページより

犯罪を計画段階から処罰できるようにする「共謀罪」の内容を含む「改正組織的犯罪処罰法」は、委員会の採決を省く「中間報告」という異例の手法によって本会議で採決となり、徹夜の紛糾の末、6月15日午前7時46分、参院本会議で自民・公明・日本維新の会などの賛成多数で可決、成立しました。

このような国会の動きは、市民団体から出された「共謀罪(テロ等準備罪)」の廃案を求める意見書の提出を求める陳情書が総務委員会で審査されることになっていた日の前日のこと。そのため、もはや法案でなく法律になったのだから、法案廃止を求める陳情書は審査するに及ばない、陳情書は取り下げるべきものだ、という意見もあるなかでの議論になりました。

私は、この陳情書の審議において本来の議会の役目として、陳情の趣旨を汲み取り、血の通った審議をするということでは、「これは廃案ではなく、法律の廃止でなければスジが通らない」というのはあまりに形式的に過ぎると考えました。陳情者も「廃案であっても廃止であっても陳情の趣旨は全く変わらない」と説明していました。安曇野市議会としては、この文言を整理したうえで意見書を提出すれば事足りると考え、意見書提出に賛成する(陳情を採択する)討論を行いました。
以下、小林じゅん子の賛成討論です。

「共謀罪(テロ等準備罪)」の廃案を求める意見書の
          提出を求める陳情書 原案に賛成の討論

政府は、「共謀罪は一般人とは無関係」と説明していますが、これは事実に反します。
忘れもしません。今からちょうど10年前、2007年6月のことです。
自衛隊内部文書を入手した日本共産党が自衛隊・情報保全隊の活動を国会で採り上げ、「一般市民の活動まで監視している」ことを告発して明るみに出ました。166ページにも及ぶ自衛隊内部資料の中には、私が所属している反戦・平和の小さな市民団体の名前までもがありました。同時期にイラクで人道支援活動にあたっていたNGO関係者の人達も監視対象になっていました。私自身が防衛省から、つまりは国から監視対象となっていたことを知り、驚くとともに強い憤りと恐怖を感じました。

この事件について、防衛省側は非を認めるどころか、その後「自衛隊情報保全隊」は再編・強化されてきました。このように、「共謀罪」法の成立以前に、すでに国民監視態勢は完成していたといえるような状態だったのです。かつて、軍内部の規律違反を取り締まる憲兵が、やがて国民を監視し、弾圧する存在となっていったことを、私達は忘れるべきではないでしょう。

捜査当局による監視強化は、市民同士による「相互監視社会」を導き出し、物言えぬ『独裁国家』への道を開くものです。
共謀罪法が成立した今、まさに廃案を(廃止)を求めて意見書を提出すべきと考え、この陳情に賛成の討論といたします。

※以下の「 」部分は、他の賛成討論で触れられていたので、私の討論では省略した内容です。
「政府はTOC条約締結のためにテロ対策の共謀罪を作ると説明していますが、TOC条約はテロ対策のための条約ではなくマフィア対策としてできたもので、説明はウソにも等しいものです。賛成討論にそのウソの理由を絡めているのも散見され、首を傾げざるを得ません。そもそも共謀罪を作らなくても、テロの準備行為を処罰する法律はすでにありますから。」

※採決の結果、賛成9、反対14、退席1で、陳情は不採択となりました。
賛成討論7人に対し反対討論3人。反対した議員が14人いたのに、反対討論はたったの3人だったことが、タイトルの「「廃案」?「廃止」?文言にこだわり審議したがらない保守系議員」になったわけです。