松枯れに農薬の空中散布は有効か

2017年8月14日 00時23分 | カテゴリー: 議会報告

空中散布に使用されるネオニコ系農薬の一つ

~安曇野市議会6月定例会
   小林じゅん子の一般質問(その1)~

Q1【小林質問】 これまでの長きにわたる松枯れ対策から、松枯れ防止・根絶に薬剤の空中散布は効果がないのは明らか。市が3年間実施した空中散布の実績分析からも、効果があったとは言い難い。岩洲公園では空中散布しなくても松枯れは広がらない、という見方もある。来年は止めて様子を見てはどうか。

【農林部長】 散布区域で枯れた松が2本、比較対照した非散布区域では17本だった。これがすべて松くい虫被害で枯れたものかは明確ではないという指摘もあるので、さらに詳細な調査を行い、効果の検証をしていきたい。

【小林質問】 昨年は希少動物が発見され1回目の散布を中止したが、人に対する健康影響をもっと重視しなければいけないのではないか。

【農林部長】 薬剤による悪影響が科学的に証明できない中、予防原則に従い散布を中止することも一つの考え方だが、この3年間の散布実績と調査結果から、今後も安全を確保しながら実施していきたい。

薬剤の空中散布で松枯れは防げない
~ひとまず岩洲公園の空中散布は中止してみては~

岩洲公園(明科潮沢地域)は、標高800メートルを超える尾根伝いにあり、栄養分の少ない砂岩が風化した土地に樹齢を重ねたアカマツが景勝の地をつくり出している。日あたりがよく、やせた土地を好んで生えるアカマツが、長い年月をかけてここに適応した極相林になっている。

空中散布を行った3年間で、松枯れしたものは2本だけということだが、これが空中散布の効果か、標高が高い尾根で成長を極めたアカマツの極相林ということから、もともと松枯れしにくい環境だったということか、どちらなのかしっかりと分析してみる必要がある。
松枯れ防除について、これだけ詳細な調査データを集めた事例は他になく、どう分析し読み取るかによって、空中散布の評価は大きく違ってくると思われるので、さらに精度の高い調査と分析により空中散布の可否を判断してほしい。

これまでの市の考え方は、全て農薬会社と国の規制庁の見解によるもので、極めてお役所的な対応であった。しかし、松枯れには空中散布が効く、ネオニコチノイド農薬は安全だ、という情報が流布されてきた背景には、農薬会社と政官の癒着という構造的で根深い問題があり、一概に行政だけを責めるわけにもいかない。フランスが来年からネオニコチノイド農薬を全面禁止するのをはじめ、各国で残留基準を厳しくする方向にあるというのに、日本では残留基準を大幅に緩和していることには、ただただ愕然とするばかりだ。

安全な農薬とされているため、空中散布の効果が認められないにもかかわらず、やめるに至らないという現実に気付くべきである。薬剤による悪影響について、科学的に因果関係が十分証明されない状況でも、予防原則にしたがって薬剤散布を止める方向での検討が必要なのだ。

戦後アメリカ軍がもたらし安全だといわれていたDDT(有機塩素系)は、71年に発がん性があるとして使用禁止になった。次に出てきたのは有機リン系農薬で、これもさらに人体や哺乳類への安全性が高いというネオニコチノイド系農薬に取って代わったが、今やそのネオニコ系農薬も使用禁止にする国が出てきた。要するに、危険性は時を経ることで明らかになるのである。

岩洲公園のアカマツは、自然の摂理の中でしっかりと根づいており、松くい虫に負けずに成長している。その現状と環境を大事にして、農薬の空中散布をここで一度やめてみることを提案する。