安曇野市におけるゼロ予算事業の展開と課題について

~安曇野市議会12月定例会
     小林じゅん子の一般質問(1)~

安曇野市暮らしのガイドブックでは広告募集は料金明快になっています。

ゼロ予算事業とは、自治体が持っている既存の施設や人材、情報やネットワークなどを使って、特別な予算措置をせずに行政サービスを行ったり、行政課題の解決や市民ニーズへの対応をする取り組みのことです。職員の人件費やコピー代、消耗品費などを除いた「新たな予算措置のない事業」ということもできます。

ゼロ予算とは言うものの、その主目的は支出の削減ではなく、職員の意識や働き方を変えるところにあります。経済縮小時代を迎え財政が厳しさを増すなかで、行政サービスの低下を防ぎ、多様化する市民ニーズに対応していくためには、職員の創意工夫により、市民との協働・連携を進める様々な政策展開が必要となってきます。ゼロ予算事業の出番ということです。

「ゼロ予算事業」は田中県政下の長野県が03年度から初めて導入したものです。今では全国の自治体に「ゼロ予算事業」は浸透しています。田中知事はこう言っていました。

「人件費こそ最大の事業費です! 職員自ら汗をかき、智恵を出して進めていくゼロ予算事業。予算がなければ事業ができないという固定観念を捨て、職員一人ひとりが、県民の皆様が真に求めるサービスのために、意欲をもって力を尽くしています。」

ゼロ予算だから何でもいいということではなく、予算事業と同等の結果が求められるのであり、質的に良い仕事をする、これに尽きると思います。今後はいかにして市民も巻き込んだ「市民との協働」を実現していくかも考えていっていただきたい。

 

【小林質問】 人件費こそ最大の事業費、職員みずから知恵を出して進めていくゼロ予算事業について、現状と今後の展開について伺う。

【市  長】 市職員と民間との共同事業として、オリジナル婚姻届や暮らしのガイドブック等の冊子作成、市内避難所のポータルサイト掲載、スポーツ義足体験授業の実施等がある。市独自の事業として、職員が直営で行う事業も様々あるが、正確に把握できていない。

【小林質問】 ゼロ予算事業は予算書に載らず、何をやっているのか見えにくい。事業評価の対象にしないと問題も起こりうる。安易に流れない取り組みが必要ではないか。

【政策部長】 予算書と連動する実施計画や部局の経営方針の中に、ゼロ予算事業を位置付けることを検討する。市の各種計画を一覧できるホームページで、ゼロ予算事業も紹介する。

 

《まとめ》 このゼロ予算事業で作られたものに安曇野市オリジナル婚姻届がありますが、ご存知でしょうか。婚姻届用紙とセットになっている婚姻手続き早わかりBook(冊子)に広告を出して、その広告代金で印刷費等経費を賄うので、自治体の費用負担はゼロ。この商法で自治体と契約している業者は、今のところ全国で2社しかないとのこと。

西日本の某市の場合、年間5000部の印刷で3年契約。印刷代は15万円程度。広告料は5件で90万円だったそうで、その他経費もあるとしても相当な金額の差益があることになります。さらに困ったことに、掲載した広告の内容にも問題が指摘されています。
某市の場合、調査してようやく広告料がわかったのですが、安曇野市の場合は広告料はいくらだったのかわかっていません。(情報公開請求しましたが非公開でした。)同様の事例が全国ですでに100市以上あると聞き、あらためて驚いているところです。

タダでマル投げという形なので、オリジナル婚姻届のデザインも行き届かず。付属の婚姻手続き早わかりBookは、手続きの解説は4ページで広告の方が多いつくりで、わざわざ広告を付けてまで冊子にして印刷する必要を感じません。「タダなんだからいいじゃないの」、「イヤなら使わなきゃいいのだから、いちいち目くじら立てなくていいんじゃない」で、すませておいていい問題とは思えません。冒頭にも書きましたがゼロ予算だから何でもいいということではなく、予算事業と同等の結果が求められるのであり、質的に良い仕事をする、これに尽きると思います。

安曇野市オリジナル婚姻届は下記リンクから見ることが出来ますので、興味のある方はぜひご覧ください。
http://www.city.azumino.nagano.jp/soshiki/15/43828.html