「会計年度任用職員」制度の導入に向けて

~安曇野市議会3月定例会
     小林じゅん子の一般質問(2)~

安曇野市の保育士の7割が非正規雇用という現状

2017年、地方公務員法と地方自治法が改正(改定)され、2020年4月から自治体の非正規職員に「会計年度任用職員」が導入されることになった。

この改正法の趣旨は、政府見解によれば、地方公務員の臨時・非常勤職員については、総数が2016年4月現在で約64万人と増加しており、また、教育、子育て等、さまざまな分野で活用されていることから、現状において地方行政の重要な担い手となっていること、このような中、臨時・非常勤職員の適正な任用・勤務条件を確保するということになっている。

しかし、教育、子育て等、さまざまな分野で活用されているというのは余りに美化された表現で、実際のところは、厳しい地方財政のもとで、人件費の削減のため、正規職員の定数削減が推進され、賃金の低い非正規職員へと置きかえられ、官製ワーキングプアをつくり出してきたということではないか。働き方改革と称して、民間企業では同一労働、同一賃金の原則に基づく取り組みが始まっているが、自治体職員においては、格差是正が全く進んでいない。そこに会計年度任用職員制度ができたわけだが、安曇野市では、この制度をどう受けとめ進めていこうとしているのか質問した。

【小林質問】 安曇野市に合併した2005年、正規職員は860人。定員適正化計画により2018年には735人まで減ったが、非正規職員は600人から742人にまで増加。厳しい財政運営のもとで人件費の削減のため、正規職員の定数削減が推進され、賃金の低い非正規職員へと置きかえられてきた現実がある。この状況を是正するため、2020年4月から自治体の非正規職員に会計年度任用職員が導入されることになった。必要な準備は進んでいるか。

【総務部長】 総務省からマニュアルが示されており、それに沿った対応をしていく。任用・勤務条件を新たに設定し直す等々、様々な準備が必要であり、県と近隣市で調整を図っている。最終的には、条例の改正によって決まる。

【小林質問】 処遇改善ということでは当然財政負担は増すが、その見積もりは。

【総務部長】 最大限見積もって7億円と試算している。市のまちづくり計画の財政計画に盛り込み済みである。

《まとめ》 会計年度任用職員制度に移行すると、新たな財政負担7億円。それほどの金額に値する仕事を、安上がりにさせてきたという反省がなければなりません。同一労働・同一賃金の原則からいえば、7億円でもまだ充分とは言えません。
厳しい財政の中で、コストを削減するために、目先の数で正規職員を減らし、その分を非正規職員に置きかえ人件費を絞ってきた。官製ワーキングプアを生んできたのは、国をはじめ全国の自治体の責任です。
安曇野市で7億円の人件費増を考えると、これまで非正規職員の給料を低く抑えてきたことは、実は地域経済の停滞にも影響していたとはいえないでしょうか。