議会広報特別委員会で山梨県甲州市議会を視察

~広報誌を活用した議会公聴のあり方を学ぶ~

甲州市議会議場にて~2020年2月5日

「安曇野市議会だより」を編集発行している議会広報特別委員会では、山梨県甲州市議会を視察し研修したので報告します。

1、日 程 2020年2月5日~6日(1泊2日)

2、視察地 2月5日 山梨県甲州市議会

3、目 的
広報誌のあり方、議会広報誌と広報誌を活用した議会公聴のあり方など、議会広報の今後の方向性について情報交換するとともに、甲州市議会広報誌の編集作業の実際から学び、当市議会広報作成に資するため。

4、甲州市議会について
甲州市は合併・市制施行平成17年11月1日、1カ月早いほぼ同時期に合併した安曇野市議会と共通する課題があり、参考になるのではないかということと、「市民と議会の対話」や「市民フォーラム」など、市民との対話や場づくりに積極的に取り組んでいる点に注目し視察研修の目的地とした。

5、研修内容
○甲州市議会広報の概要について
・名 称 甲州市議会広報(創刊平 成18年2月28日)
・印刷媒体の議会広報誌として年4回発行。議員広報編集委員会(条例による設置)及び事務局が編集。表紙・裏表紙カラーで内ページは2色刷り。毎号おおむね24ページ。再生紙を使用。
・発行部数 11,650部
・印刷費  173万7,000円(平成31年度当初予算)
43万4,000円×4回、1部当たり約37.27円
・発行回数と発行日 年4回定例会ごとに発行
4月30日、7月31日、10月31日、1月31日

○議会広報編集委員会の概要について
・条例により設置した委員会 定数9人
・正副委員長 委員の互選による
・委員の任期 議員任期4年のうち、全員がそれぞれ2年ずつ委員を務める
・費用弁償 なし
・研修費  あり
・編集委員会は通常、委員9人、議長、事務局長もしくはリーダー、事務局1人の合計12人が出席して開催
・編集委員は一般質問、予算・決算を含む常任委員会レポートと委員会研修レポートの記事を執筆し、市民参加コーナーへの協力者を探し協力を依頼する。事務局は表紙、レイアウト、写真撮影、定例会レポートの執筆。

○編集方針や留意事項について
○発行までのスケジュールについて
○配布方法について
○編集マニュアルやチェックリストについて
○市民との対話特集ページについて
○その他

6、まとめ(成果と所感)
・議会だよりには、「決まった事しか出ていない」「議論の中身が見えない」「市民生活に身近な視点・論点がない」「市民に親しみやすい内容に乏しく読む気がしない」などの批判や不満が多く寄せられるが、市民との対話の特集ページはそういった批判や不満に応えるものとして良い企画だと思う。
具体的には、二つある常任委員会が1回づつ担当する企画により2回、正副議長が残りの2回の企画を担当して、4ページに亘る「市民との対話」特集が組まれている。
企画のアイデアは、日頃の議会活動、議員活動のなかで随時情報収集をしながら、テーマやアイデアを出し合い、決めていくことが多いとのこと。そのための時間を取って会議を開いたりはしていないというが、そのことからむしろ並々ならぬ委員の皆さんの熱意を感じ、励まされた。

・安曇野市議会だよりの編集要綱には公聴について明記されていないが、甲州市議会でも同様とのこと。しかし、甲州市議会の議会広報編集委員長は「公聴も広報機能に並ぶ議会だよりや議会広報誌の大事な機能と考えている。要綱等に明記されていないから『できない』『やらない』ということではダメだと思う」と明言。市民との対話の企画が充実してきた元には、そうした考えがあったということが分かった。安曇野市議会だよりの編集においても、かくありたいものである。

・年4回定例会ごとに発行するのは安曇野市議会と同じだが、甲州市議会では安曇野市議会より発行日が1週間早い。聞けば、一般質問の原稿を編集委員が書いており、予めどの編集委員が誰の一般質問を担当するのか決めてあるので、原稿が集まりやすいだけでなく、公正で偏りのない客観的な記事が期待でき、迅速な編集につながっていると見えた。安曇野市議会でこれをやろうとすれば、委員一人で2人分の原稿を書かねばならないので困難と思われる。

・市民に親しみやすい紙面づくりということでは、4コマ漫画が一役買っている。公募で採用した市民にお願いして描いてもらっている。内容は作者に一任なので、議会関連のテーマとは限らない。1年間に4回で、謝礼は1万6,000円。安曇野市議会だよりでも4コマ漫画を取り入れたいが、できれば議会関連のテーマでやりたい。

・「一般質問は議員の晴舞台」とも言われ、議会だよりが一般質問中心になってしまう傾向が強い。安曇野市の議会だよりも一般質問が毎号10ページにも及ぶ。一般質問を行う議員が多い時で20人はいるからであるが、甲州市議会は定数が少なく一般質問する議員も少ないので、一人1ページの余裕のある紙面作りができているのはうらやましい。
読みやすい「余白」が少ない一般質問ページでも、甲州市議会広報のような工夫、例えば問いと答えでフォントを変えたり、文字色を変えたりすることで、かなり読みやすくなることを実感したので、次号でさっそく試してみたい。また、QRコードの活用についても、安曇野市議会だよりよりも工夫が凝らされており、これも取り入れていきたい。

・甲州市議会広報の配布については、安曇野市の事情と共通するものがあり、特に甲州市においても区への加入率が50%を切るところがあって、なかなか行き渡らない悩みがあるとのこと。公民館や図書館に置くより、地域のスーパーマーケット等に置かせてもらうと、けっこう多くの市民が持っていく状況が見えるので、さらに工夫したいとの話があった。
市民の生活に密着したスーパーマーケット等に、議会の広報誌を置くということは、市民の関心度をはかる意味でもやってみてはどうかと思った。ついでに、議会の開催案内のポスターなども、地域のスーパーマーケット等に貼ってもらえば、身近な議会を演出するのに効果的ではないかと思った。
※次の2月6日には、埼玉県鴻巣市にある株式会社会議録センターで、議会だより編集の実際を講義とグループワークで学びました。
ところで、ここ数年、安曇野市議会だよりは、ずいぶんと見た目も内容も変化して読みやすくなったと思いませんか。会議録センターでの研修は5回ぐらい(私は2回目)受けていますが、そのおかげで議会だよりがずいぶんと進化しました。これからも更にいいものを目指して頑張っていきます。