採決の日~安曇野市議会3月定例会最終日

~反対するならその理由を表明する「反対討論」~

安曇野市自治基本条例の一部を改正する条例の議案書

3月19日、一か月に及んだ3月定例議会は最終日を迎えました。委員会審査を経た議案は次々と採決され、いつものことながら大方は全会一致で可決となりました。そうはいっても、全会一致とはならない議案もあって、賛成・反対の討論が交わされることもけっこうあります。今議会では、条例改正や新年度予算、陳情について、多くの討論がありました。

基本的なというか、当たり前のことですが、賛成してもらうことが前提で出されている議案ですから、賛成する議員は黙っていてもいいのですが、反対するならその理由を明らかにしなくてはなりません。議会では「反対討論」というものです。私は、今回、条例改正、新年度一般会計予算、産業団地造成特別会計の3件の議案に反対討論を行い、使いやすい入浴料金割引券の発行に関する陳情の採択には、賛成の討論をしました。 

採決に当っての討論は通告書を提出することになっており、この通告書を見てから、市長与党的立場の3会派では反対討論に対する賛成討論を誰がやるのか、割り振りしているようです。反対討論は共産党の議員と無所属議員が圧倒的に多いのですが、こちらは各々の意思で討論をしています。通告による討論が一旦始まると、あとは通告の有無にかかわらず反対討論でも賛成討論でも、その場ですることができますから、議案によっては次々と討論が続くこともあります。
話は前後しましたが、以下は条例改正案に対する小林じゅん子の反対討論です。 

議案第3号 安曇野市自治基本条例の一部を改正する改正する条例について、議会の権限を定めた条文を、法令を包括的に引用する規定方法に改めることに反対して、討論します。

 

憲法や地方自治法、安曇野市議会基本条例があるから、市議会の役割や責務に関する第8条を改めるというのであれば、そもそも自治基本条例はいらないということにならないでしょうか。憲法には地方自治の条項があり、それに基づいて地方自治法が定められているのだから、その解釈と運用によって自治の基本は確保されているとするならば、自治基本条例は必要ないということになりかねません。

 

実は、この私自身が安曇野市議会で議会基本条例を作ろうではないかと議論が始まった頃に、「地方自治法があるではないか。この法の精神と目的を理解し、正しく運用していけば、議会基本条例などいらない。」などと、議会基本条例の何たるかを理解しない主張をしていたことを思い出します。

 

地方自治法という名称であっても、それは国が考えた地方自治のルールであり、全国共通の一律のものにすぎません。ですからそれは、どこの市町村にも通用するようでいて、実はどこの市町村にも過不足なく適合するものではないのです。2000年の地方分権一括法の施行以後は、そこに気付いた自治体が、自己決定・自己責任において自分たちのルールは自分たちでつくるという流れができてきたわけです。

 

つまり、自治基本条例には、地方自治法に定められていることを改めて明らかにする、という意味合いは当然あるとはいえ、もっと重要なのは、この安曇野市という地域の特性・独自性をふまえたまちづくりの方向性を打ち出したものであること、その点こそが重要なのです。憲法や地方自治法に示された理念やルールを、私たちのまち安曇野市の自治体運営の基本原則として、具体的かつ実践的に示したものであるところに、自治基本条例としての核心があるのです。

 

議会の権限を定めた条文を、法令を包括的に引用する規定方法に改めることになれば、憲法や地方自治法などに書いてあるような画一的で理念的なものにしかなりえず、安曇野市の議会と市民と行政との関係性において必要とされる条例とはならないので、本改正案には反対です。