防衛予算の倍増を閣議決定した政府方針の撤回を求める意見書
~3月議会で議員提案 賛成少数で意見書提出ならず~
小林じゅん子と日本共産党安曇野市議団の3議員が協力して、「反撃能力」の保持と防衛予算の倍増を閣議決定した政府方針の撤回を求める意見書を議員提案しました。
「反撃能力」の保持と防衛予算の倍増を閣議決定した
政府方針の撤回を求める意見書(案)
政府は、12月16 日の閣議で、国家安全保障戦略等の「安保3文書」の改定を閣議決定した。この「安保3文書」には、「敵基地攻撃能力」を「反撃能力」との名称で保有すること及び、防衛費を今後5年間で43兆円に増額する方針が明記された。
敵基地攻撃能力とは、相手の領域内で攻撃できる能力であり、「反撃能力」と言い換えたところで国際法違反の先制攻撃となりかねず、専守防衛に反するものである。
防衛費の増額については、5年間で総額約43兆円、2027年度には防衛費をGDP比2%、11兆円まで倍増するとしており、これは現在世界第9位の防衛費が、一気に米国、中国に次ぐ第3位になるほどの増額である。
しかし、このような閣議決定は、日本の安全保障政策を根本から大転換するものであり、単に時の政権の独断によるものであってはならないことである。今日まで、国の防衛予算は専守防衛を限度とする自衛権の発動の範囲とする、としてきた国及び国民の意志から大きく逸脱するもので、憲法の平和主義の原理にも反するものである。
国際情勢にこれまでにない急激な変動が生じているとしても、この変化に対応するための国の意志決定は、主権者である国民に十分説明し、その理解を得ることが大前提である。本年3月のNHK世論調査によれば、防衛費増額について説明が「不十分だ」という人が、閣議決定からおよそ3カ月経った今も66%に上っている。これは国会での議論もなく閣議決定したことに対する国民からの批判であり、民主主義国家としてあるまじき国政の現状を嘆く国民の声と受け止めるべきである。
よって、直ちに、「反撃能力」の保持と防衛予算の倍増を閣議決定した政府方針を撤回することを強く求める。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
井出議員が意見書の提案説明を行いましたが、当然あると思っていた質疑はなく、すぐに賛成意見・反対意見の討論になりました。反対の意見としては、「危険な独裁国家3国と日本は隣接している、防衛力の強化は当然」「世論調査を根拠として、政府方針の撤回を求めるような意見書には賛成できない」「反撃能力の保持ということの趣旨は、抑止力として有効だから。そこに意味がある」等々4議員(増井議員、大竹議員、松枝議員、宮下議員)が討論。対する賛成討論も4議員(矢澤議員、猪狩議員、臼井議員、小林じゅん子)が行い、採決の結果は賛成8に対し反対12で、残念ながら否決となりました。
以下は、小林じゅん子の賛成討論です。
議員提出第3号「反撃能力」の保持と防衛予算の倍増を閣議決定した政府方針の撤回を求める意見書に賛成の立場で討論いたします。
毎日新聞、朝日新聞、読売新聞ほか、多数のメディアが実施した全国世論調査では、防衛費の増額についての是非が問われましたが、いずれの調査においても、閣議決定で国の安全保障の根幹にかかわる決定がなされたことに、多くの国民・市民が、反対の意思表示をしていることがわかります。私の身の回りでも、多くの市民が、防衛費倍増への疑問と平和憲法に反する「反撃能力の保持」への不安を感じています。
そして何より、国民にとって最重要課題である政策決定にかかわることが、国民や国会の議論もなく、閣議決定されたことへの不信と憤りの声が上がっています。防衛は国の専権事項で地方議会が口を出すべきでないとの意見もありますが、国のために国民が存在するのではなく、国民会っての国であり、国民主権の日本国です。この国民の声を受け止め、地方議会の安曇野市議会にとして、国に対し意見書をあげることが、今まさに必要とされています。
よって、「反撃能力」の保持と防衛予算の倍増を閣議決定した政府方針の撤回を求める意見書の提出に賛成します。