選択的夫婦別姓制度の法制化を求める意見書

~市議会から国へ提出を要望する陳情書を採択~

選択的夫婦別姓制度に花束を

夫婦の氏に関する制度は国によって様々ですが、2010年に法務省が行った調査(いささか古いですが)によれば、① 夫婦同氏と夫婦別氏の選択を認めている国として、アメリカ合衆国(州により異なる)、イギリス、ドイツ、ロシア ② 夫婦別氏を原則とする国として、カナダ(州により異なる)、韓国、中華人民共和国、フランス ③ 結婚の際に夫の氏は変わらず、妻が結合氏となる国として、イタリアがあります。
もっとも、法務省が把握する限りでは、結婚後に夫婦のいずれかの氏を選択しなければならないとする制度を採用している国は、日本だけです。

選択的夫婦別姓制度の法制化を求める意見書の提出を要望する陳情書を採択することに、小林じゅん子は賛成の立場で討論しました。
家族の一体感が損なわれる、との主張は非論理的です。姓の一致と家族の絆は因果関係がなく、同姓でも不和な家庭がある一方、別姓でも温かい家庭は多く存在します。離婚後に姓が異なる親子が多く存在している現実も、姓の違いが絆を壊す要因でないことを示しています。
選択的であることが制度の本質です。同姓を望む夫婦には従来どおりの選択を残しつつ、別姓を望む夫婦にも法的な選択肢を与える制度です。「強制」ではなく「選択」であり、誰かの自由を奪う制度ではありません。にもかかわらず、日本では同氏を強制しており、これが現代社会と乖離していると言えないでしょうか。
実態調査と世論のゆがめられた利用にも注意が必要です。賛成派・反対派いずれの主張にも偏りのある調査があり、都合よく根拠として利用されることがあります。「子どもたちの約7割が「同じ苗字であることを望む結果が出ている」というのは、産経新聞の調査と思われますが、その調査や分析の手法には問題があります。また、その結果から子どもの権利の問題に言及していますが、子どもの姓の選択については、同姓を選択した場合でも結局は「一方の姓」を選ばざるを得ず、「強制される」という点では変わりません。むしろ、将来的に子ども自身が結婚する際に選択肢を持てる制度を整える方が、子どもの権利を広げることになります。
選択的夫婦別姓制度は「誰の自由も奪わない」制度です。この制度が導入されても、従来通り同姓を選ぶ人には何らの不利益も生じません。一方、現状において名前を変えなければならず困難を抱える人々にとっては、制度導入が人生設計や自己実現に直結する切実な課題なのです。

以下、参考情報です。
夫婦が同じ氏を名乗るという慣行が定着したのは、明治時代からだといわれています。明治31年に施行された戦前の民法では、戸主と家族は家の氏を名乗ることとされた結果、夫婦は同じ氏を称するという制度が採用されました。明治時代より前は、そもそも庶民には氏を名乗ることは許されていませんでした。第二次世界大戦後の昭和22年に施行された民法では、「夫婦は、婚姻の際に定めるところに従い、夫又は妻の氏を称する。」とされました。これが、現在の制度です。出典:法務省
ということで、夫婦が同じ氏を名乗るのは日本の伝統的な価値観だと受け止めている人は多いようですが、明治以降の慣行にすぎません。