部分公開といっても、ご覧のように12枚の選考評価調書のほとんどが墨塗りで、事実上の非公開です。
安曇野市情報部分公開決定通知書によると、まず「公開することにより当該法人等に不利益を与えることが明らかであると認められるため」という理由で部分的な公開としていますが、不利益の内容について担当職員は「選考から外れたというマイナスの評価まで公開されてしまうと、事業者の競争上又は事業運営上の不利益をもたらすおそれがある」という程度の認識でした。このような理由を聞いたなら、当の事業者こそ心外に思うのではないでしょうか。事業者は、むしろ、どのような評価がなされたのか真摯に受け止め、今後に活かそうとするでしょう。公開されることで不利益を被ると考えているのであれば、そもそもプロポーザルに参加することはないはずです。当然ながら情報公開の請求者も、選からもれた事業者の情報まで知ることによって、高いレベルの企画提案であったか、公平・公正な審査がなされたかがわかり、市が行う事業に対する信頼を深めることになります。
次にもう一つの理由は、「実施機関の内部における審議に関する情報であって、公にすることにより、意思決定の中立性がそこなわれるおそれがあるため」となっていますが、当該プロポーザルに関する情報公開請求は、業者選定の結果が公表されたあとになされたものですから、公開しても意思決定の中立性がそこなわれるおそれはまったくありません。これも、むしろ、公開することのほうが、意思決定の中立性を示すもの、説明責任を果たすこととして重要です。
以上のことから、部分公開とした理由のいずれにも納得することはできません。
ところで、一部公開の文書を受け取った時に、担当職員に次のように要望しました。
「(公の施設の)指定管理者の選定に関して情報公開した時には、採点表も公開されている。今回のケースと似ているから、再検討してほしい」、「審査委員名と事業者名は伏せてもいいから、点数や評価は公開してほしい」という要望です。
しかし、十分に検討された気配もなく、審査会にかけることになってしまたことは大変に残念です。
関連してここに、情報公開請求により入手した南穂高児童館の指定管理者の指定に関わる審査評価表を参考資料として提出しますのでご覧ください。
審査委員名は匿名、事業者名は非公開ですが、評価点数はすべて公開されています。業務委託のプロポーザルと指定管理者の指定とは違うと言われるかもしれませんが、その審査・選定において透明性、公正性が求められる点では共通しており、したがって情報公開への対応も同等でなければならないはずです。
ところが、今回のプロポーザルに関する情報公開の扱いは、南穂高児童館の指定管理者の指定に関わる情報公開のそれと180度違っています。提出資料をご覧の通りです。これは、全部公開か部分公開かの判断基準に統一性がないということ、その時々に市の都合のいい判断をしていることを物語るものです。
プロポーザル方式による業者選定のメリットは、一方では談合の温床になりかねない危険をもはらんでいます。その審査・選定には公正性、透明性が確保されるよう最大限の配慮が必要であり、情報公開はまさにその公正性、透明性を担保するものです。行政に都合のよい情報開示では、それはもはや「情報公開」とはいえません。
安曇野市行政が公正、公平に事務事業を執行していることが公知されるためには、本件情報が全部公開に出来るかぎり近いかたちで公開されることが必要で、公開によってこそ市政への理解と信頼が高まると考えます。
ぜひとも適切な判断をしていただきますよう、お願いいたします。
なお、不服申立の理由の(1)〜(4)に述べた『原本を改変したものを「原本」として部分公開したものであり、これは情報公開条例に違反した処分である』については、先日10月5日に住民監査請求(安曇野市職員措置請求)がなされていることを申し添えます。
2010年10月15日
住所 安曇野市穂高有明2104−10
氏名 小林純子
(注1)関連については下記の報告をご覧ください。
2010年8月12日
隠そうとする理由はなに?意味不明な情報公開
〜不服申立したら審査会に諮問することなく原本を全部公開〜