「三郷ベジ」住民訴訟控訴審レポート〜その3

6月14日結審の方向/「三郷ベジ」住民訴訟控訴審

 控訴審第3回口頭弁論の報告です。「三郷ベジタブルの経営改善を望む市民の会」の横地泰英さんがレポートしました。

◆住民訴訟 控訴審第3回口頭弁論
 6月14日結審の方向/「三郷ベジ」住民訴訟控訴審

 2010年3月10 日(水)16:03開廷 16:35 閉廷
 東京高裁 加藤新太郎裁判長
 控訴人側 小林純子 中島嘉尚弁護士 傍聴者2名
 被控訴人(安曇野市長)側 宮澤明雄弁護士 傍聴者(市職員)2 名

 経営不振の安曇野市のトマト栽培第三セクター・安曇野菜園(旧三郷ベジタブル)をめぐる住民訴訟は10年3月10日、東京高裁で第3回口頭弁論が開かれた。
 控訴人側は準備書面(10)を提出。被控訴人側はこの準備書面に反論する準備書面(2)を提出した。控訴人側はていねいに論旨を展開したのに対し、被控訴人(市側)は控訴人の主張を否定あるいは否認する形で、「指定管理」の論理を述べた。最後に裁判長は「かなり詰まってきている。それぞれきちんと主張し、誠実に反論してきた。もう1回やって終結ということでどうか」と審理日程を問い、控訴人側は「事実関係で争いはないから、証人調べの必要はない。双方の主張を判断することでよいのではないか」と答え、被控訴人側も「新たな主張をする予定はない」と答えた。
 次回第4回口頭弁論は、6月14日(月)と決まり、それまでに1度、準備書面をやりとりすることとした。

 被控訴人側の「指定管理の論理」は、09年12月21日の第2回口頭弁論に提出された準備書面(1)で全面展開したものだ。使用料徴収、施設管理費用の負担、納付金などについて広く行政裁量に委ねられるものとした。今回準備書面(2)では、「本件施設の使用は、指定管理者とされた者が行う管理・占有に基づくもので、賃貸借契約に基づくものでなく、公の施設の利用の問題でもない」と主張。準備書面(1)では、指定管理の中身を幅広くとり、さまざまな三セク経営のありようを並べたのを受けて、「賃貸借契約ではなく、指定管理契約。公の施設の利用の問題ではなく、指定管理者の管理」と展開した。
 賃貸借契約を結んでいるが「賃貸借ではない」。その契約で使用料支払いを決めているが「利用の問題ではない」。分かりにくい主張だ。

 三郷ベジタブル問題には、ざっと10年にわたる経緯があり、当初は指定管理の認識もなく、制度の変遷に乗ってきただけという経過がある。控訴審における被控訴人の主張は、三郷村が指定管理者の指定をした平成16年時点から、使用料や納付金などについて幅広い行政裁量が認められるということになる。これは、これまでの時点ごとの説明や、経営改善計画の内容などと異なる。事実の「すり替え」があり、施設使用料の有無や指定管理料の設定など、安曇野市民にさらなる負担増をもたらしかねない。
 第3回弁論の後半は、あづみ農協との損失補償についてのやりとりがあり、準備書面(2)について、被控訴人側弁護士が裁判長質問に即答できず、立ち往生する場面もあった。(報告・横地泰英)

◆控訴審の第4回口頭弁論は6月14日(月)14時〜東京高裁