9月議会・小林じゅん子の一般質問

三郷ベジタブルの経営責任について

 安曇野市議会9月定例会、今日から三日間は一般質問。初日の今日は7人が質問に立ちました。私は5番目。質問の順番はクジ引きして決めるのですが、集中力がある午前中の順番に当ったためしがない。今日も午後の「眠気に襲われる」ような時間になってしまいました。なぜか傍聴者も少なく、報道関係者のほうが多かったし、こんなにも関心を持たれていない議会なのかと思うと、さびしいと言うか考えさせられるものがありました。
 以下は、三郷ベジタブルの経営責任について質問した内容をまとめたものです。答弁については、議事のテープ起こしができてからでないと正確には伝えられないので、後日の報告とします。それでも、明確な答弁としては二つありました。一つは、三郷ベジタブルの新たな経営改善計画は、外部の力(第三者機関)を借りてしっかりしたものを創る。もう一つは、三郷ベジタブルの経営陣の刷新も含めて今後の経営について検討する、ということ。
 そのほかについては、なにを聞いてもこちらの質問をはぐらかすような答弁が多く、この期に及んでまだ逃げの姿勢かとガッカリでした。

◆三郷ベジタブルの経営責任について
 私が三郷ベジタブルについて一般質問で取り上げるのは、これで3回目となりますが、念のためこれまでの経過と問題点について説明しておきたいと思います。
㈱三郷ベジタブルは、2003年11月に旧三郷村(安曇野市)が3100万円、カゴメ㈱、あづみ農協、土地所有者などが残りの2900万円を出資して設立された第三セクターです。2分の一の国庫補助により、総事業費20億円余をかけてトマト栽培施設を建設し、カゴメ㈱のトマトの生産・販売事業の委託を受け、カゴメの技術指導、栽培基準で生食用トマトを生産しています。当初の計画が甘かったことに加え、原油価格の高騰などによる生産コストの見込み違いなどから経営不振が続いています。

 平成2006年度の補正予算(第5号)では「トマト栽培施設使用料7,138万円の減額」がやむなく認められましたが、このことは、企業として当然支払うべき施設使用料の支払いを猶予してもらってもなお黒字経営に転じないばかりか、今後も満足に支払えない経営状況であることを示すものです。県内の第3セクターとしては債務超過のワースト10に入っており、経営は危機的状況にあります。この8月末の4期目の決算でも3,500万円の赤字の見通しです。

 以上ざっと説明しましたが、このような状況のなか、市の監査委員は自治法に定められた監査権を行使し㈱三郷ベジタブルの監査を実施しました。先日発表された監査結果報告では、4月提出の経営改善計画は、議会でも指摘したとおり、正確な決算数値を反映しておらず不十分な内容であるとして、再提出を求めています。ほかにも問題点は多く、「改善、検討を要する事項が認められたので、三郷ベジタブルに対する指導を含め適切な措置を講じられたい」と監査の結果は結ばれていました。これを受けて市はどのような対応を考えているでしょうか。論点が明確になるように、いくつかの項目にわけて質問しますので、答弁をお願いします。

1、㈱三郷ベジタブルは、市の監査の指導により経営改善計画を練り直す考えはあるか。また、その新たな計画により経営改善は可能か。

2、第三セクターにありがちな問題点がすべて揃っている。経営改善は不可能。
○実現可能性が必ずしも高いとはいえない事業計画による赤字経営
・農業生産品であり秀品率は一定しない
・原油価格は一定せずむしろ上昇傾向
○官民の役割分担が不明確で行政が必要以上に資金負担している
・国庫補助事業に対する甘え、運転資金まで村の損失補償に頼る
○経営陣の能力や役割に問題があり、主体的な取組みに欠ける
・役員の半数は行政側の人間、経営のプロがいない

3、損失補償の違法性の認識はあったか。運転資金まで村の損失補償で借り入れなければならなかった事情はなにか。
平成15年12月議会で、債務負担行為として三郷ベジタブルに係わる損失補償について議決されている。自治法上問題ないかという質疑があったが、適切な議論はなされなかった。また、損失補償の必要性についてもなんら議論されていなかった。
「資本金はいくらいるのか」といえば、「資本金は形式論理で言えば初期投資分(設備投資と開業費)。しかし現実の問題としては、経営の安定も考えて初期投資の三分の一は欲しい。(7億円)少なくとも五分の一は必要と思う。(4億円)三郷ベジタブルは3%(6,000万円)しかない。はじめから村の損失補償(借金)をあてにした事業だったのでは?
・借入契約書に不備が多いのは、この事業への取り組みの甘さ、いいかげんさの表れではないか。契約期限が明記されていないもの、補償枠の金額しか書かれていないもの、損失補償契約期限を越えて償還期限を設定しているものなど、基本的な要件を満たしておらず、これで金が借りられるのはおかしいい。違法な契約である。

4、そんな経営陣が作った形ばかりの改善計画のなかで、唯一まともと見えたのは「役員報酬の減額」であったが、これが本当に減額したことになるかは疑問。
・誰がどのように減額になったか。減額の理由はなにか。
・毎日出勤し実質的に仕事をしている常務よりも、出勤日数が少ない社長の方が高額の報酬なのはなぜか。
・社長の勤務実態はどうか。月/何日出勤しているか。
三郷ベジタブルの社長の実績を利用するなどして、「有機野菜を大規模に生産する農業生産法人の開業支援事業」として東京都の中小企業経営革新計画承認企業の認定を受け、コンサルティングの仕事をしており、そちらの仕事の方が忙しいようだが、そのような兼務の社長に月額60万円もの報酬は考えられない。特別の事情があるのか。三郷ベジタブル設立の成功報酬か。

5、住民監査請求書が提出された背景には、間接的にではあっても旧三郷村の行政責任と㈱三郷ベジタブルの経営責任を問いたい、という市民の怒りにも近い思いがある。市は、そして㈱三郷ベジタブルは、この住民監査請求をどう受け止め、応えていくつもりか。

6、曇野市出資法人あり方検討専門委員会でも、三郷ベジタブルは調査の対象になっているが、「施設の廃止又は民間等への売却は考えない」という前提条件では、調査する意味がない。抜本的な対策となれば、このことを抜きにしては論じられないはず。本気でやる気があるのか。