㈱三郷ベジタブル(資本金6,000万円)は、2003年11月に旧三郷村(現在は安曇野市)が3100万円、JA、カゴメ㈱、土地所有者などが残りの2900万円を出資して設立された第三セクター。
カゴメ㈱の生鮮トマトの生産・販売事業の委託を受けており、カゴメの技術指導、栽培基準で生産、規格品はすべてカゴメが買い取る契約になっています。しかし、この契約は10年という期限付きです。契約が切れたあと、自力で販路を開拓する力があるのかどうか。石油価格の高騰など生産コストの見込み違いもありそう。パート100人の地元雇用という点は評価できるとしても、経営状況については疑問を感じています。
さて、そこで、タイトルにある〜市所有の栽培施設を借りながら賃借料7,000万円が未払い〜の問題です。
広大な栽培施設(水耕栽培の温室だけでも5ha)は旧三郷村(現在は安曇野市)の所有であり、㈱三郷ベジタブルは不動産賃貸借契約および土地賃貸借契約により、2006年度より安曇野市に7,000万円を支払うことになっていました。(経営が軌道に乗るまでの2年間は支払いを猶予されていた)
この7,000万円について、支払いができるほどの収益が見込めない経営状況なので、「説明と理解を求める」ために産業観光部長(三郷ベジタブル取締役)が、全協へやってきたというわけです。
1期目から10期までの経営状況を示す中期経営計画なる文書を持ってきて説明しましたが、三郷ベジタブルの決算書とこの中期経営計画の数字が対応していないので、比較できないしよくわからないのです。(わかりにくくして、煙に巻こうとしているようにも思える)
そう感じたのは私だけではなかったようで、「こんな大事なことを、部長の説明で済むことではない。代表取締役である西山助役(旧三郷村)に来てもらって、改めて説明してもらいたい」、「今日もらった資料には損益計算書と書いてあるが、12月にもらった決算書と比べてみても、数字の対応がよくわからない。これでは2重帳簿ではないかと思ってしまう。監査では問題なかったということなんですか」など、意見が相次ぎました。私も一言「説明するからご理解いただきたい、ではすまない。市民のために使われるはずだった7,000万円が、今後もずっと見込みがないということは大変なこと。市民に対して公にし、お詫びする必要がある」と付け加え、西山助役からの説明を要望しました。(その後、急遽、議会運営委員会が開かれ、26日に改めて助役を呼んで説明会を開く事が決まりました。)
私は、産業観光部長と担当者に電話で2回話を聞き、実際に会って決算書を見ながら話したり、また、昨日の全協での説明もあったわけですが、何度聞いてもスッキリと理解できなかったのです。家計簿や現金出納簿を付ける程度の知識では、億単位の数字が並ぶ企業会計の決算書など、そう簡単にはわかりません。
しかし、全協での説明を聞き「問題点をぼやかそうとしている」部分がやっと見えてきたので、今日になって監査をした青木収入役の説明も聞いてみました。三郷ベジタブルの決算書を見ると、一般管理費、製造原価に賃借料(地代家賃)が計上されているので、私は賃借料が払えなかったとは思っていなかったのですが、収入役に聞いて、その疑問が解けました。
賃借料7,000万円を支払わなければならないが、支払いができない状況なので、貸借対照表でいえば負債の部の未払い金になっているというのです。未払い金が1億8,000万円もあるのはどうしてとは思っていましたが、1〜3期分の賃借料が未払い金として累積していたのでした。
つまり、企業として当然支払うべき賃借料の支払いを猶予してもらってもなお利益が上がらないばかりか、今後も満足に賃借料が支払えない経営状況であることが明らかになったのです。
産業観光部長や担当者は、そこの説明をぼやかして「経営がまだ安定していないので、一般会計へ入れるのはもう少し先まで猶予してほしい。それも2000万円に減額してほしい」という説明なのです。「市へ支払うべき賃借料が未納になっている」と、はっきり言うべきです。だいたい、民間企業だったら賃借料を3年分も未払いにして、営業を続けるなんてことはできません。第三セクターだからできること、経営に対する認識が甘いと思います。
この「市へ支払うべき7,000万円」ですが、総事業費20億円のうちの旧三郷村負担分の約6億4,000万円について、毎年7,000万円を賃借料として払ってもらえば10年で回収できるということで、あっという間に計画が進んだとも聞きました。問題点、疑問点がいっぱいです。
第三セクターですから、当然のこと市の関係者も役員になっています。「未払い金が1億8,000万円もあるのに、役員報酬などもらっている場合ではないでしょう!」と言いたい気持ちです。