学童保育の利用料は受益者負担の考え方で

利用料無料のままで質のよいサービスが提供できるか

 議案第90号児童館の設置及び管理に関する条例施行規則の一部を改正することについて、これはひとことで言えば学童保育の利用料値上げということなので、判断に大変迷いました。財政事情から公費負担は大変だと、安易に利用者負担を考えているようならば「値上げはチョット待て!」なのですが、今年から夏休みなど長期休みには、朝から利用できる態勢を整えるなど福祉課の努力も認められます。
 近隣市町村を見れば、おやつ代は別として利用料が無料のところはなく、おやつ代込みで1ヶ月3000円から6000円、そこに生活保護世帯や住民税非課税世帯の減免があるという形が多くなっています。1ヶ月に20〜24日間・放課後3〜4時間を利用してこの料金、高過ぎるといえるでしょうか。利用料無料のままで質のよいサービスが提供できるのでしょうか。「値上げ」というより、受益者負担ということで考え、改正案に賛成することにしました。

 合併後は5町村で調整して利用料が決められるので、穂高町の現状より大幅に値上げになることが分っています。合併推進派のキャッチフレーズ「サービスは高く、負担は低く」などという言葉は、本気で言っていたとは思いませんが、もはや誰も口にしません。これが現実だからです。

 値上げに反対の猪狩議員は「穂高町独自の優れた政策は続行すべき。子育て世代の経済的負担が増し、少子化対策に逆行する。合併後の高負担に向けての地ならしである。」などと述べ、賛成の私と議論になりましたが、他の議員の意見はほとんどありませんでした。

◆以下は、児童館の設置及び管理に関する条例施行規則の一部を改正することについて、私の賛成討論です。
 今回の改正案について、これまで無料だったものが有料になるということで、福祉の後退ではないかと見る向きもありますが、これまで利用者が一律に負担していた「おやつ代」を含めた形で利用料を定めたもので、生活保護を受けている世帯や住民税非課税世帯については実質的に負担は軽くなるよう配慮されています。
 実際に負担が増える利用者についても、ある程度の受益者負担は必要と考えます。
 福祉サービスも住民のニーズが多様化しており、選択の自由が認められる中で、行政サービスを在り方を考えていかなければならない時代になりました。その多様なサービスをすべて公費で賄うとすれば、財源の問題はもちろんのこと、利用する人しない人の不公平感も生じるでしょう。
 福祉は、憲法に基づいた基本的人権を守ることに関しては、それこそ平等にきっちりと保障すべきと考えますが、多様な行政サービスの目的なり役割なりが変わってきている中では、受益者負担の考え方も必要ではないでしょうか。
 受益者負担により、サービス利用者としての自覚やサービスの費用に対するコスト意識が促され、受身で利用するだけのサービスから、積極的に利用しより良いサービスに発展させていくきっかけにもなると考えます。