②では、昨年11月にこの審議会に依頼さた公的個人認証の制度・運用に関する検証の結果、課題となったことについて県の取り組み状況が説明されました。Aとして「安全であることが確認されたもの」99項目、Bとして「運用状況により確認が必要なもの」4項目、Cとして「長野県独自の対策・支援により安全が保たれるもの」5項目、Dとして「安全性が確認できていないもの」がゼロという検証結果に対して、県からはブリッジ認証等のSLA(サービス・レベル・アグリーメント)の締結について損害賠償項目を新たに定めたとか、市町村窓口端末(パソコン)の操作者認定方法は、より安全な指紋認証方式の採用を考えていくなど、いくつか具体的な対策や支援の報告がありました。
Cランクで問題になっていたICカード(住基カード)の安全性については、「5ヶ月たっても結果が出ないのはなぜ」「(総務省や関係機関に)本気で確認しているのか」から始まって、「上からの答えを待っているのでなく、実際に世間で起こっている住基カードがらみの事件を検証すれば、よほど実効性のある対策がとれるのでは」と厳しい追及もありました。
③では、旅券事務での住基ネット利用に関するアンケート調査結果の報告がありました。旅券申請で住基ネットを利用したい人、したくない人の割合は半々。したくない(住基ネットを利用を希望しない)人の理由のほとんどは「旅券申請には戸籍抄(謄)本が必要で、そのついでに住民票も取れるから」というもの。市町村に対するアンケート結果では、旅券事務での住基ネット利用にメリットの方が大きいが52.1%、デメリットの方が大きいは2.6%で少ないが、どちらとも言えないの44.4%を合わせると、行政側も賛否は半々。
電子証明書の発行状況は、10月27日現在長野県内では357枚が発行され、その数は全国で39番目ということでした。市町村別の数字も示されていましたが、何のための証明書なのかが把握されていないと、今後に生きてこないと思いました。
次に、旅券事務での住基ネットシステムの利用に係る費用対効果試算について、来年度からの5年間についての新たな試算と、費用対効果はプラスとの結果が提示され、議論となりました。私は、初めて見た試算数式や試算表だったので、すぐには理解できませんでしたが、審議委員から「住民側のメリット(手間が省ける、手数料がかからないなど)まで、行政側のメリットに金額換算してプラスしているのはおかしい」「旅券申請に住基ネットを利用する人の割合は、アンケートから50%と仮定しているが、住基ネットシステムの維持にかかる経費まで半分ということはありえない」といった意見があり、だんだんに問題が見えてきました。費用対効果はプラスだという県の見解は鵜呑みにはできないと強く感じました。この試算については審議委員の納得が得られず、再提示ということになりました。
最後に、非公開審議の内容について話があり、今年5月から6月にかけて起こった住基ネットのシステム障害に関する件と、住民基本台帳法に基づく規定等にふれるような案件があるので、それらについては非公開審議とすることになり、傍聴者は退席となりました。
システム障害に関する件については、審議委員からは「初歩的ミスによる障害で驚いている」「こんな基本的なところでミスをしておきながら、内緒にしてねみたいな話では困る」「誰のためのサービスなの?住民のためでしょ。秘密にしておいて『安全です』って顔してるだけではないか」など、公開審議にすべきとの意見もありましたが、県職員の意向が強く非公開となってしまいました。