「言論の府」である議会の議論とは

穂高町議会9月定例会を振り返って

 6日から始まった9月定例議会は、16日間の会期をもって21日に終了しました。今回は決算審議ということで議案説明が3日間にわたったことや、3つある常任委員会(①総務、②文教社会、③経済建設)を個人的にすべて傍聴したり、林道整備の見直しに関する請願が出ている北沢林道や、猿害被害に悩まされている牧地区の現地視察をするなど、これまでになくハードな毎日でした。

 決算審査では、まず担当課からの事業報告と説明があり、議員からの質疑となります。質疑=疑義を質す、簡単に言えば質問することなのですが、原則として「自己の意見を入れないこと」になっています。このごろやっと慣れてきましたが、以前はよくこの”お約束”を忘れてしまって、「○○については町の対応に問題があると思います。そのため住民はとまどいと不信感を・・・」などと話し始めては、「只今は質疑ですから、自分の意見は控えてください」と注意されていました。ようするに質疑では「私はこう考える」と言ってはならないというのですが、日常生活の延長で「私はこう考えるけれど、どうなんですか?そうじゃないんですか?」と問いたくなってしまうわけです。

 そのあたりを議会のルールに従いつつ、的確な質疑をするにはどうするか。「私はこう考える」ではなく、これこれこういう事実がありますがと根拠やデータを示して質疑すればよいということになります。そうすれば行政側もただ答えるだけでなく、問題点を自覚したり、方針転換を考えたりなどのキッカケになるはずです。そのような的確な質疑のためには、事前に決算書や事務事業報告書に目を通し、調査し、自分なりの主張と意見を持てるまでになっていないとダメなわけで、その点まだまだ充分とは言えませんが、昨年の初めての決算審査よりは前進できたと自己評価しているところです。

 質疑が終われば次は討論です。ここで初めて「私はこう考える」と言ってよいことになります。議員必携(議員活動のハンドブックのようなもの)によれば、討論とは「議案に対する賛成、反対の旨とその理由を述べて、他の議員を自己の意見に賛同させることを目的とする発言」とあります。議会は「言論の府」といわれるくらいですから、発言は自由にできると思っていたら、1議案につき一人1回、討論として発言できるだけなのです。1回だけというのには驚きましたが、それならそれで発言のチャンスは最大限に生かそうと頑張ってきました。

 さて、2003年度穂高町一般会計歳入歳出決算の審査では、青柳議員が決算は認められないとの立場で反対討論を行い、次に私が決算を認める賛成討論(前ページ・9月21日の報告参照)をし、その次さらに誰か反対討論があるかと思いきや何もなく、小林(秀)議員、大谷議員と賛成討論が続いて、いよいよ最後の表決となりました。賛成14、反対3、賛成多数で一般会計歳入歳出決算は承認。一つ物足りなかったのは、反対の荻原議員、猪狩議員の二人から反対討論がなかったこと。行政側が出してきたものでよければ取り立てて賛成討論がなくても許せますが、反対するならその根拠を示してキチンと反対討論をしてほしかった、そう思っています。

 私は数百にも及ぶ穂高町の事業について、違法なことや不正なことがないという基本がクリアされているならば、その決算を全面的に否定することはできないと考え、いくつか問題点を指摘し改善を求めた上で賛成の立場をとりました。「小林さん、あれじゃまるで反対討論じゃないか」という人もありましたが、発言のチャンスは最大限に生かすことを考えて、そんな形にしたのです。