7月23日のこのページで、県営烏川渓谷緑地について県が住民参加で整備を進める方針を示したので、実際の森林整備予定地を見学したという報告をしましたが、今日はその烏川渓谷緑地の森林整備のお手本になるような森が「すぐそこ」にあるというので見学に参加しました。大町市の北部、荒山林業さんが整備をしている”北山の森”と呼ばれる山です。
実は、私の事務所の大家である諌山さんは「薪ストーブ屋さん」、薪を使うことは森林環境に浴することでもありますから、林業についても実に詳しい方なのです。私が「穂高はまだ緑も木もいっぱいあるし・・・」なんて話をしたら「それが大間違いなんだよ!木はいっぱいあるかもしれないが、けっしていい森じゃないんだ。ここらへんの森を見て、このままでいいと思ってもらっては困る。百聞は一見に如かず、いい森を知らなくちゃ始まらない」ということで、この夏”北山の森”に連れて行ってもらったばかり。今回は烏川渓谷緑地の整備を念頭に、住民の方々はもちろん、豊科建設事務所や信大農学部、南安建築士会など各方面からの参加があり盛会でした。林業志望の高校生が参加してくれたのも嬉しかった。
講師の小林雅文さんは、”北山の森”の荒山林業で修行され、現在は「山仕事創造舎」を設立して林業に携わっておられます。”北山の森”の中に、ここから出された材を使って自宅を自力建設したというすごい人です。この小林さんと諌山さんの案内で、東海ノ口側の千草林道から森に入り、林道沿いに5ヶ所を見学しました。
日本の全森林の4割以上がスギ・ヒノキの人工林で、林業の不振から手入れもされず、放置されたところが非常に多くなっていますが、荒山林業さんの”北山の森”はよく管理がなされており、実に気持ちのよい森になっています。この「気持ちよさ」はどこから来るのだろうと考えたとき、木材生産のためだけではない、環境保全のための、人間をはじめ”いきとしいけるもの”すべてのための森つくりをしているからだと気がつきました。私がこれまで「いい森」のイメージとして誤解していた京都・北山杉のような森林が、今後の日本の森林整備が目指すべき森の姿ではないということも、よく分かりました。
詳しいことは、またこの次の報告で。