市民のためにこそ使う議員権限
~議員の権限と特権を取り違えないように~
20日の議会全員協議会(全協)で、「猛暑が続いている。クールビズとはいえ議場も暑い。熱中症予防のために水分補給をこまめにする必要から、水筒やペットボトル(飲料)の持ち込みできないか」という要望が出ました。わたしは「それはいいと思うが、であれば傍聴席でも飲料持ち込みOKにして」と付け加えました。熱中症にかぎらず、水分補給が欠かせない持病のある人は多いと気付いたからです。
すると、どこからか「そりゃ、ダメだ!ガソリンでも持ってこられたらどうする」とか、「2時間ばかりのあいだ、水を我慢できないようなヤツは議員になんかなるな」など、かなり乱暴なヤジが聞こえてきました。ガソリン撒かれてしまうような議会だと不安に思っているのかしら?身体強健な人しか議員になれないのかしら?なんかおかしいですね。これも議員の特権意識の表れでしょうか。
「議会は男の世界。議会は慣例と前例の世界。議会は特権の世界。」これは私の実感としてよく使う言葉ですが、議員の特権意識というのはなかなか厄介なものです。この特権意識に染まらないようにするためには、どうしたらいいのだろうと考えて書いたのが次の文章です。議員としてはまだ駆け出しの頃のものですが、初心に返る意味も込めて再掲します。
◆市民のためにこそ使う議員権限
「議会軽視」という言葉に象徴される「議員の特権意識」は厄介なものだ。おまけに議員の権限と特権を取り違え、口利きが大事な仕事だと勘違いしている議員もまだまだ多い。
わたし自身は、権限と特権は違うと理解しているつもりだが、自分の意識や行動がどうかといえば自信はない。そんなわたしに、研修テーマ「議会の基本を知らないと議員活動は安易に流れる」は、これまでに学んだことの総ざらいとなり、議員としてその権限を適切に行使するとはどういうことなのか、再確認するよい機会となった。
そもそも「議会の権限」とはなにか。代表(間接)民主制における議会は、市民の代表である議員によって構成され、「その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使し、その福利は国民がこれを享受する」(憲法前文)とある。この権力の及ぶ範囲が権限である。議会には議決権、監査の請求権、自律権、調査権等いくつかの権限が与えられている。よく「議員には調査権がある」といわれるが、これはあくまでも議会の権限。個々の議員に与えられているのは、発言権、表決権、議案提出権等である。
こうしてみると、議員の口利きなどその特権意識の表れであって、権限の行使とは別次元ということがわかる。議会・議員の権限は法を根拠とする限定的なもの。だからこそ議員は議会の正規のルールである自治法、会議規則、委員会条例等を守る義務があり、これら法令に反する前例、慣例に従ったり、申し合わせなど作ったりはできないはずなのだ。しかし、権限を特権とカンチガイしている議員は自分たちに都合よく申し合わせを決めたり、結果として市民に背を向けることになる。
こうした議員と一線を画し、数の論理に流されないためには、議会の基本を常に念頭におき自分の議員活動と照し合せること。そして、なにより市民のためにこそ議会・議員の権限を適切かつ最大限に行使することだ。