安全保障関連法案の慎重審議を求める意見書提出を可決

意見書案に対する賛否の一覧表(クリックで拡大表示)

~「撤回」「徹底審議」を求める意見書案2件は否決~

 注目の安全保障関連法案は15日午後、衆院特別委員会で与党単独で強行採決。翌16日の衆議院本会議でも可決され、参院に送られました。仮に参院での採決が行われなかったとしても、9月14日以降は「60日ルール」の適用で、今国会での成立が可能な状況にあります。

 が、しかし、です。この強引なやり方を目の当たりにした人々は、反安倍、関連法案阻止の動きをいたるところで拡大しています。この60日は安保法制に反対する私たちにとって、諦めないで行動を起こす、意思表示をするための時間と心得ましょう。

 さて、そんなとき、安曇野市民の代表である市議会はどう動いたのか。ざっとまとめておきます。

 議員提出第6号 安全保障法制関連法案の撤回を求める意見書の提出→×否決
 議員提出第7号 安全保障関連法案の徹底審議を求める意見書の提出→×否決
 議員提出第8号 安全保障関連法案の慎重審議を求める意見書の提出→○可決

 「撤回」「徹底審議」を求める意見書案2件は否決され、なぜか「慎重審議」を求める意見書案が可決されたのです。詳しくは後段に書きますので、まずは小林じゅん子が提案者となり林議員、増田議員が賛同して提出した「安全保障法制関連法案の撤回を求める意見書」案をご覧ください。

◆安全保障法制関連法案の撤回を求める意見書(案)
 日本は戦後70年の間「平和国家」として現行憲法による「専守防衛」の安全保障政策のもと国際紛争の解決のための武力行使を認めず、恒久平和を願う国として国際的にも信頼され高く評価されてきた。ところが政府は昨年、集団的自衛権の行使容認を閣議決定し、その具体化に向け安保関連法案を今年5月に閣議決定した。

 この法案は、国会の事前承認により、いつでもどこでも世界で起こる紛争地に自衛隊を派遣できるだけでなく、場合によっては事後承認でも可能など、海外での武力の行使に道を開く危うい法案である。戦後貫いてきた「専守防衛」の原点を大きく踏み外すものであり「このままでは日本は戦争できる国になってしまうのではないか」という危機感と疑念を強くいだかせるものである。

 法案の審議の過程で6月4日に開催された衆議院憲法審査会においては、参考人の憲法学者全員から、集団的自衛権の行使を容認する解釈及びこれらの法案について、憲法違反であるとの指摘がなされた。また、時の政権によって憲法解釈を便宜的、意図的に変更して進めることは、国家権力の濫用を抑える立憲主義に反しており、容認することはできない。

 集団的自衛権の行使は典型的な違憲行為であり、憲法9条を改正することなくしてはありえない。複雑な国際情勢への対応は、憲法の平和主義、専守防衛の原則を堅持した上で、これからも粘り強く、積極的に、非軍事・非暴力の平和外交を貫くべきである。よって、安全保障関連法案を撤回するよう強く求める。

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 議員提出第6号と7号は当初からの議員提出議案。「撤回」、「徹底審議」を求める内容。私は両方に賛成しましたが、多数会派(自民党系)と公明党の反対が多く否決されました。
 ところが、2つの意見書案が否決された直後、多数会派の竹内議員の動議により、「慎重審議」を求める意見書案が提出されたのです。これは、先に否決された「徹底審議」の意見書から、主張の核心をなす7行の文言を削除しただけで、あとは全く同じというもの。安曇野市議会として「意見書を提出しました」という体裁だけのものとしか思えませんでした。安保法制に賛成の立場で質疑する議員が何人もいたことを思えば、なおさらです。意見書を提出する意義が問われます。

【参考】安保法制、144議会「反対」 181議会「慎重」
2015年7月9日10時30分 朝日新聞デジタル記事
安全保障法制や集団的自衛権の行使容認をめぐり、全国で少なくとも331の地方議会が国会や政府への意見書を可決していることがわかった。「反対」の立場が144議会、「賛成」が6議会、「慎重」は181議会だった。