政務活動費の適切な運用と収支報告の透明化を求める陳情は採択されたが
~宮下議長「会派長に事情を聞いたが問題なかった」と口頭で報告~
6月議会に提出された「政務活動費の適切な運用と収支報告の透明化を求める陳情書」は、全会一致で採択されたにもかかわらず、議会としてどう対応していくのか、議員である私にもわからないまま7月が過ぎようとしていました。そうこうするうち、7月27日に議会全員協議会(全協)を開催するとの通知が届きました。
そこに記された協議内容の一つに「陳情第3号について」とあり、一瞬なんのことと思いました。じつはこれ、問題の政務活動費に関する陳情のこと。議会ホームページの方も見てみましたが、こちらも「陳情第3号について」とあるだけ。市民が傍聴しようかなとアクセスしても、これでは何のことやらわからない。「政務活動費の適切な運用と収支報告の透明化を求める陳情について」と分かりやすく書くべきだったと思います。
私はこの「陳情第3号について」という表現を目にしたとき、もう「これは逃げの一手だな」と直感しましたが、27日の全協はその通りの展開となりました。
議長は口頭で一言「関係者に事情を聴き説明受けたが問題なかった」と報告しただけ。私も含め数人の議員からは異論、反論も出ましたが、議長はそれ以上の具体的な内容を明らかにせず議事は混乱。議長は「会派代表者会議で(検証や説明を)やります」と言って全協を終えました。
それから1ヶ月、8月26日の会派代表者会議で、ようやく協議事項に「政務活動費について」が出てきました。無所属議員4人からは荻原議員が代表として参加していますが、「会派を組んでいない」ことを理由に会派代表者会議では不安定な立場に置かれているので、林議員と私は傍聴して成り行きを見守りました。
以下に簡単に報告します。
まず冒頭で、無所属議員の代表として参加している荻原議員が自ら「今回はオブザーバー参加ということでよいか」と宮下議長に確認したところ、「オブザーバー参加ということでなく、今日は特別に(無所属議員の代表としての参加)ということだ」というようなやりとりが聞こえました。???どういうこと!
そもそも、政務活動費の適正な運用と使途の透明性の確保について最終責任は議長にあるのですから、会派代表者会議で説明して終わりというのは有り得ない。ましてや市民の陳情にも応える責任があるのですから、会派代表者だけの内輪の会議で「報告しました。会派に持ち帰って伝えること」ですむ話ではありません。
にもかかわらず、なんとしても「問題ない」とこの会議をもって幕引きしたいのか、宮下議長は通常オブザーバー参加(発言はできるが、決定権、議決権はない立場での参加)の荻原議員を、正式なメンバーとしての参加であると都合よく位置づけて、今回の会派代表者会議の結論に正当性を持たせようとした。私にはそんなふうに見えました。
議長からは、平成25年1月と同年7月に行われた会派しん風会の視察旅行について調査したと報告があり、その詳細については先の6月議会・総務委員会で陳情の審査を行った経過をふまえ浜総務委員長が説明しました。私としては、その説明に納得するどころか、本気で調査したのだろうかとよりいっそう疑問が深まりました。
たとえば、京都市の視察にあたって報告書が無く、視察場所や状況が全くの不明のところ、貸切タクシーの領収書内訳には「道の駅視察」とあったが、京都市内に道の駅は存在しないことについて、「道の駅のような施設ということで『京の食文化ミュージアム』を視察した。報告書はうっかり提出を忘れていた」と説明。
食事代9,000円(3名分)について、宿泊代に朝食代が込みであれば二重計上になるし、昼食代も含まれているとすれば、昼食代は政務活動費では支出が認められない。報告に添付された宿泊代や交通費の領収証が、すべて「Mツアーサービス」という旅行会社発行のものであるため、これらの明細がわからないことについては、「クーポン券で支払ったため現地業者発行の領収証がない」と説明。クーポン券が旅行の支出明細をごまかすために利用されているのでないか、という疑問は残る。
土産代2,000円のレシートの日付が旅行から帰った日の二日後になっていることについては、「店から支払いは旅行から帰ってきてからでよいと言われたため」等々、そんな説明で納得できるのかというグダグダの内容でした。
無所属議員にも説明・検証の場が与えられれば、けっして問題ないという判断はしなかったと思いますが、宮下議長は「無所属議員は会派ではないから、説明する必要ない」という扱いをしたのでしょう。それでいて、今回は「特別に会派代表として扱う」という、あまりに御都合主義ではないでしょうか。
松沢議員(共産党安曇野市議団代表)「会派ごとに説明・検証してもらったと議長の発言あったが、説明を聞いて問題ないと判断したということであって、共産党として『監査』したということではない」と念押しの発言。すると、他の会派からも「そうそう」「監査したわけじゃないから」とか、同意するようなささやきが聞こえてきました。
荻原議員(無所属議員代表)「きちんと文書にして全員協議会で報告すべき。陳情者の市民ネットに対しても当然のこと文書回答すべき。でなければ納得得られない」と発言。
しかし、宮下議長は「文書回答はしない」と発言。
その後も荻原議員の数回にわたる「文書回答すべき」との発言にも、議長は「ご意見として聞いておく。文書回答はしない」の一点張りでしたが、次の浜議員の言葉で少し考え直したようです。
浜議員(信誠会代表)「市民ネットの申し入れ書は期限を区切って回答を求めている。先ほどのこの私の報告をそのまま議長回答として使ってもらうわけにはいかないが、本日の会派代表者会議で『このような内容の報告があり協議した』ということぐらいは、文書で出さないとまずいのではないか」
宮下議長「市民ネットに対しては『会派代表者会議で説明・問題ないと報告しました』という回答を文書で出す」
※浜議員は原稿を読み上げて報告したのですが、その文書は会議の中でも配布されることはありませんでした。
最終的には「問題となっている政務活動費について、当該の会派長や会計担当者(当時)から説明を受け、政和会、共産党、公明党も検証に加わってもらい、問題ないとの結論に至った。問題とされた政務活動費の使途については浜議員からの説明のとおりであり、その詳細について文書で回答することはしない。会派代表者は本日の会議の結論を、会派に持ち帰り伝達すること」で会議は40分ほどで終わりました。
こうなっても繰り返し私は言います。政務活動費の適正な運用と使途の透明性の確保について最終責任は議長にあるのですから、会派代表者会議で説明してそれで終わりにするなんてことはできません。市民からの陳情を採択したからには、それに応える責任もあります。議会内の内輪の問題として片付けようとしても、市民は納得しないと思います。
※会派代表者会議は議長が招集、メンバーは信誠会の浜議員、政和会の平林徳子議員、公明党の小松芳樹議員、共産党の松沢議員、無所属の荻原議員の5名。