公式スポーツ施設整備基金条例と新総合体育館の建設について
~わかりにくくてどうとでも取れる市側の答弁~
3月定例議会の福祉教育委員会では、公式スポーツ施設整備計画に盛られた5施設の整備に充てるための基金をつくるための条例=安曇野市公式スポーツ施設整備基金条例について、多くの質疑がありましたが、市側の答弁は核心にふれることなく、どうとでもとれるような内容で判断が難しかったです。
以下に一例をあげます。私の質疑に教育部長が答えているのですが、「答え」になっていません。
《小林質問》 確認ですけれども、「公式」とはついているこの条例ですけれども、現在進行中の総合体育館、これについて、計画ができ上がり、それを市民に知らせ、議会で審議するなかで、施設の規模が小さくなり、「公式スポーツ」ということでは使えないような体育館になったとしても、この条例によって積み立てた基金は活用できると解釈していいわけですね。
《北條教育部長》 将来どうなるかという議論のなかでお答えするというのも難しいと思うのですが、基金の設置の第1条を読んでいただければ、まずこの計画書にうたった施設の整備のための基金ですので、当然それは、もしも28~38億という体育館、そういうような概算の事業費という想定をさせていただいていますが、さまざまな議論のなかでどういうふうになってきたか、例えば規模が縮小するとか、そういうふうになったときに、それは今度逆に言いますと、財政的にこの基金のそこから充当するのかどうかというのは、またこちら側の、行政側の判断もあろうかと思います。ただ、基本的には「計画に掲げた施設の整備のため」ということで、今回は条例を出させていただいていると。ですので、議論が変わってきて、さまざまな情勢が変わってきたときにどういうふうに判断するかというのは、基本的には施設の整備のために充てるということですので、その判断というのはそのときによってまた若干変わる可能性はあるかとは思います。
と、まあ、こんな調子の質疑が他の委員とも繰り返されました。市側の答弁は何とも歯切れが悪く、どうとでも取れるというか、どう来ても逃げられる、とでもいうようなものでよく理解できませんでした。
質疑が一通りすんで討論が行われ、反対の意見としては「今後5つの公式施設を建設するのは財政面からも不可能だと思う。公式スポーツ施設のための基金だとすると、それ以外の体育施設の整備にはこの基金が使えないおそれがある。基金の名称から「公式」を外すべきだと考え反対する」というものがあり、賛成の意見としては「公式スポーツ施設の整備計画ありきではなく、その規模や予算など柔軟な対応するということでは、公式か公式ではないかにこだわる必要はない。もしこの基金でカバーできないことがあっても、市には公共施設整備基金もあり対応できるので賛成する」というものが多数で、私も基金を作ること自体には賛同し、委員会としては可決となりました。
そもそも新体育館建設は、老朽化が進んでいる南社会体育館にかわる施設として、健康増進や生涯スポーツのための身近な体育館の整備・建設として、合併協議会の合意事項となっていたものです。それが、いつのまにか国体レベルの公式競技会ができる規模で、予算は28~38億円という計画になって出てきたのです。
「合併特例債の限度額458億円のところを350億円に抑えるとしてきたが、使用期限が5年延長になったこともあり、限度額ぎりぎりまで使う」という方針転換から、この新体育館建設も合併特例債の使用期限が5年延長のなかで「この際大きなものを作っておこう」ということになったと思われますが、どこでどう変わってきたのかハッキリとした説明がないまま計画は進んでいます。
平成23年策定のスポーツ振興計画に基づいて、27年の公式スポーツ施設整備計画が策定されたと考え、両計画をよく読み込んでみたのですが、そういった自然な流れは読み取れず、さらには「国体基準の体育館」という表現にいたってはナンセンスとしか思えないものでした。現在、新体育館建設の基本計画を作っているところですが、この計画が市民に充分説明され、同時に市民ニーズを汲み上げようとしているのか、安曇野市行政の姿勢が問われるものと思います。
合併協議会の合意事項であるならば、もっとスッキリわかりやすく市民にも受け入れやすい体育館建設になっていたはずですが、何らかの政治的な力が働いたため、こういう不自然な展開を見せているように思えてなりません。私は現在進行中の「国体基準の体育館」計画には反対です。
「合併特例債の限度額458億円のところを350億円に抑える」という慎重な態度でこれまで進めてきた合併によるまちづくり。「使用期限が5年延長になったからメイッパイ使う」って、5年後の安曇野市の財政はどうなると思っているの?
宮澤市長はこういうのでしょうか?「カネはないが財源(合併特例債という借金)はある」と。