陳情は不採択 ほぼ同趣旨の意見書は可決するビミョーな判断
~介護労働者の処遇改善及び人員配置基準の改善を求める意見書を議員提案~
昨年の12月議会に提出され、継続審査となっていた「介護労働者の処遇改善及び人員配置基準の改善を求める陳情」は、6月21日の福祉教育委員会で賛否両論出るなかで賛成4、反対3で採択することに決定し、安曇野市議会として意見書を国に上げることになりました。
採択に反対の意見としては、陳情項目の3番目に国費で費用を賄うとあるが、社会保障にあてるという消費税増税が先送りされた状況から、その可能性は極めて低く介護保険料の値上げにつながる恐れがあるため、願意が妥当であっても採択はできない、というもの。
賛成の意見としては、国は基本報酬と利用者負担のバランスを考えて、制度設計の見直しをしていく必要がある。介護保険制度により介護の社会化が進んできたが、それを後退させないためにも介護労働者の処遇改善や人員配置基準の改善は必要なこと。実現の可能性がないと決めてかかるのではなく、可能性のある限り市民の声を国に上げていくことは地方議会の役目だと考える、というもの。
このように、委員会での賛否が分かれたため、意見書の提出は賛成した4人の議員で議員提案することになり、私が代表として意見書案を作ることになりました。
元々陳情者は「これを提出してほしい」ということで、意見書案を添えて陳情されていますから、当然ながらその趣旨を大きく変えるようなことはできません。ただ、委員会での反対意見に「国費で費用を賄うこと」という陳情項目への疑問が強かったので、その点についてだけもう少し受け入れられやすい表現にできないか考えました。
介護保険制度のなかで経費が不足するからといって、場当たり的に国に援助を求めるのではなく、もともと国庫負担率が低い介護保険制度の仕組みを見直すべきだという意味を込めて「国費の負担率を上げること」に変えて意見書を提案しました。
◆意見書は議案書3(追加議案)の最後のページでご覧いただけます。
この意見書案の提案に先立って、福祉教育委員会では採択と決定した「介護労働者の処遇改善及び人員配置基準の改善を求める陳情」の本会議採決があり、残念ながら採択に反対が13、賛成が11で不採択となってしまったのです。自民系・保守系議員は「国費で費用を賄うこと」という文言が引っかかったようで、国に頼るばかりでなく自助の精神をとか、消費税増税の延期で財源がない等々の反対討論が続き、陳情するに値しないと判断したと思われます。
陳情自体が不採択になったということは、その陳情内容を反映した意見書案も否決されてしまうかもしれないと、なかば諦めの境地でその後の「介護労働者の処遇改善及び人員配置基準の改善を求める意見書」の採決に臨みました。
ところが、です。「国費で費用を賄うこと」という当初の陳情項目を「国費の負担率を上げること」に変えているので、それだったらいい(許容できる)という賛成討論があり、採決した結果はなんと賛成21、反対3で可決となったのです。タイトルの「陳情は不採択 ほぼ同趣旨の意見書は可決するビミョーな判断」とは、このこと。微妙ではなくビミョーとカタカナで表記したのは、判断の基準が自分の中にあるのか外にあるのか、はたまた時々で変わるのか、よくわからないというニュアンスを込めた私なりの表現。そういう観点から見ると、公明党の3人だけが反対したというのは意外でしたが、ある意味では判断の筋は通っていると思いました。
◆議員別賛否一覧をご覧ください。