追加議案「体育施設から穂高プールを除外する条例の一部改正」提出の真意は
~穂高プールの継続を希望する陳情は採択されたのに~
9月議会から継続審査になっていた「穂高プールの継続を希望する陳情」は、12月17日の福祉教育委員会で全員賛成で採択されました。10月から11月にかけて、福祉教育委員会では協議会を3回行い、陳情者の方々にも参加を求め意見交換するなど、議論を深めた結果と言えるでしょう。
宮澤市長も12日の一般質問で宮下議員の質問に答えて、3年間の営業延長した後に廃止するとの考えを示しました。「穂高プールを守る会」の方々が集めた1万筆を超える署名に、市長も行政も動かされたといっていいでしょう。これで、ひとまず今後の3年間のなかで、市民プールのあり方や穂高プールの代替案を含めた議論ができる、公共施設の再配置について本気で取り組むのか試金石とすることができると思ったのですが、さにあらず。とんでもない展開となりました。
議会最終日の前日20日に、追加議案として「安曇野市体育施設条例の一部を改正する条例」が提出されたのです。一見して何の条例かわからないと思いますが、安曇野市の体育施設から穂高プールを除外し、3年後の9月30日をもって廃止するというもの。
今後3年間はプールの営業を続けると市長は明言していたのに、穂高プールの代替案や市民プールのあり方について検討する必要はまったくないと、つっぱねたも同然。3年後の廃止を今のうちに決めてしまうとはどういうことなのか。それに、議会最終日で充分な審議をする時間もないときに出してくるとは、議会軽視、市民軽視の最たるものではないでしょうか。
思い起こせば7年前、安曇野市役所の設計図も出来ていない段階で、新しい市役所の位置を決める条例改正をした暴挙を思い出しました。(通常、新市役所が着工するか竣工するかの時期にすることです)新庁舎建設に反対する声や住民投票を望む声があるなか、「なんと言われようと、もう市役所はココですからね!」とダメ押しするような、有無を言わさぬ条例改正でした。今回も、プール存続を願う多くの市民の動きに「3年後は何がなんでも廃止ですからね!」と廃止条例を突きつけるようなやり方で、市民との信頼関係を崩してしまうことについては、本当に残念な思いでいます。
安曇野市体育施設条例の一部を改正する条例は、反対討論(臼井議員、林議員、猪狩議員、増田議員、井出議員、そして小林じゅん子の6人)、賛成討論(松枝議員、一志議員、藤原議員、坂内議員、宮下議員、内川議員の6人)が行われたあと採決となり、賛成13、反対7で可決となりました。反対が一人増えたのは小林陽子議員が反対に加わったためです。
以下、小林じゅん子の反対討論です。多くの議員がそれぞれの視点から反対の意見を述べましたが、私は、これから3年間、公の施設としてプールの利用を続けることになっているのに、3年後の廃止を今決めておかなければならない理由がない。法的にもその必要がない。ということを強調して反対討論をしました。
◆議案第153号 安曇野市体育施設条例の一部を改正する条例について、反対討論
今回の条例改正により、公の施設として位置付けている穂高プールが、その位置付けを無くすことになります。これから3年間、現実には体育施設として、また公の施設として指定管理のもとプールを使い続けることになっているのに、今の段階で廃止する理由は何なのか。納得のいく答弁はありませんでした。
あくまでも、行政側の「こうであったら都合がいい」という実務レベルの理由だけで、現時点で条例の一部改正が必須ということではないと分かりました。次の3月議会で穂高プールの指定管理者の指定を行い、そこで指定管理の最終期日を示せば、プール存続に何の支障も、法的制約を受けることもありません。穂高プールの廃止のための条例改正は、そのあと最も適切なタイミングで行えばよいのです。
市は、しきりに指定管理の業者の立場を心配していますが、穂高プールの継続を望む陳情者や1万以上の署名住民の願いには想いが至らないのでしょうか。市長の一般質問における答弁や、穂高プールの継続を希望する陳情の採択という2点によって、プールの存続は担保されています。議会での発言、議決は重いものであるからです。ですから、業者が安心して指定管理業務を受けられる状況になっているのであり、現時点において体育施設条例の一部を改正する必要はないので、反対します。