意見書とは一言でいえば、地方議会などが国に向けて出す要望のことです。県議会でももめた、松本市議会でも一悶着あった、イラクへの自衛隊派遣に関する意見書ですが、その意見書、何が問題になったのかというと、イラクへの自衛隊派遣について「慎重」か「中止」か「反対」か、どの文言を使うかで意見が分かれたのです。
松本市議会では「見直しを含めて慎重な対応を求める」との意見書案に、保守系議員や公明党議員から(平和を党是とする公明党がなぜ?)「全体的に派遣反対の色が濃い」などの意見が多く、委員会が紛糾したということです。県議会では、「イラクへの自衛隊派遣に当たっては、現地の治安情勢を慎重に見極めた上で結論を出すよう強く要請する」とした方が可決され、「自衛隊のイラクへの派遣計画を中止し・・・」の方は否決されています。”慎重”ならよいが、”中止”ではダメということになったのです。(田中知事は”慎重”案可決に首を傾げていましたね)
言葉尻のことなんか、と私も思ったのですが、その言葉尻に実に様々な思惑が込められているのです。「慎重」派は、自衛隊派遣は違憲ではない、イラク復興支援特措法のもとでの派遣は当然、と考えている人たち。もしかしたら、内心こんな意見書は出したくないと思っている人もあるかもしれない。「中止」派は、国連や中立機関を中心とした武力によらない復興支援を望む、治安の悪いイラクへの自衛隊派兵は戦闘状態に陥る危険がある、という人たち。その中には、治安が回復すれば派遣できるし、そうすべきという人もいるから要注意。それから政府に対して「反対」というのは表現が強すぎる、なんていう訳の分からない人も。「反対」派は、自衛隊派遣は憲法違反、イラクでなく米国支援にすぎないとする社民党系や共産党系に多いといったところ。市民派の私もこれ。
穂高町ではどうだったか。「政府にイラクへの自衛隊派遣に反対する意見書の提出を求める陳情」を採択し、それに伴って「自衛隊のイラク派遣の中止を求める意見書」案を可決しました。「反対」では表現がきつすぎるとして「中止」の表現になったのは、私としては残念でしたが、「慎重に」にすべきとの意見も出るなか「中止を求める意見書」で通すことができたのは、まずまずよかった。
※写真は議会終了直後の議場の様子