安曇野地域合併協議会ウォッチング〜その3〜

新市づくり協働塾の構想は骨抜きに

 9月14日は第3回安曇野地域合併協議会。継続協議の安曇野・新市づくり協働塾設置要綱(案)から始まったのですが、これに1時間半近くかかってしまい、その他の案件については急ぎ足の協議に。この協働塾の協議については後で述べるとして、概略を先に記します。
 まず、新市の名称と町名・字名の決定手順について、事務局より提案があり11月初旬にアンケート調査を行うことを確認。合併の方式は新設合併。財産及び債務の取扱いは、すべて新市に引き継ぐ。等のほか、条例・規則の取扱い、地方税の取扱いについても、前回提案事項はすべて原案通り確認されました。ただし、地方税については、現在どの町村も法人市町村民税が限度上限の税率なので、新市においては税率を下げてほしいとか標準税率からと明記すべきとの意見が少なからずありました。

 さて、今回の協議会の大半を費やした協働塾設置についての議論を報告します。安曇野・新市づくり協働塾については3度目の協議。前回、設置要綱の内容で問題になった箇所について修正案が提案されましたが、またしても異論続出。
 特に、趣旨=『〜新市における「住民と行政の協働の仕組み」の土台をつくることを目的とします。』が→『〜まちづくりに参加する住民の底辺拡大をめざすことを目的とします。』に修正されたこと、目的=『〜まちづくりに関する企画案の提案をしていきます。』が→『まちづくりに関する方策を「まちづくり提言」としてまとめます。』に修正されたことの2点に関して、住民が学習するのはよいが、提言までさせなくてよい。提言・提案が多いと合併へのスケジュールに遅れが出る(堀金村委員)。協働塾が合併協議会への圧力になるおそれ。住民参加といっても、行政や協議会のコントロールが必要(三郷村委員)。要綱には、まちづくりを実践するとあるが、「実践」には問題がある(豊科町委員)。などの意見が大勢を占め、あげくに「住民ジュウミンといっても、合併は国家方針。気軽に合併反対と言っている人があるが、そんな場合ではない。学習するのはけっこうだが、協議会と協働塾とは”枠”が違う(豊科町委員)。」と論点のずれた熱弁をふるう人まで現れる始末。
 これらの意見に対し、「多くの住民の参画が何よりも大事。穂高では合併の賛否は五分五分、いまだに反対の人々にとっても学習の場は必要(穂高町委員)」、「合併は住民主体であるべきで、新市将来構想の実現には住民と行政との協働は欠かせない(穂高町委員)」、「”提言”、”実践”などの文言にこだわらず、その言葉の言わんとするところの住民自治の大切さや民主主義の精神を汲んで進めてほしい(堀金村委員)」などの反論があり、協議は紛糾し一時休憩せざるをえない状況に。
 平林協議会長から、要綱の修正案に対して”実践”の削除はともかくも”提言”まで削除するのでは「合併協議会は地域住民の声に耳を傾けないのか、という誤解を与えかねない」さらに「協働塾の提言を受け入れられない場合どうするかなど、そんなに心配しなくてよいのでは。提言を受けるということは、意見を聞くという程度に考えればよい」という助言?があり、「まちづくり提言としてまとめます」は残し、それに続く”実践”を含む部分は削除することで、ようやく確認となりました。協働塾の事務局は協議会の事務局が兼ねる、協議会解散とともに解散するなど、協働塾が協議会の傘下に置かれるような体制になり、本来あるべき姿の協働塾からは程遠く、骨抜きになってしまった感があります。
 協働塾のあり方を論議する過程で、期せずして合併協議会の本質が見えてしまい失望感が残りました。