2000席の会場なので空席が目立つとはいえ、1000人近く集まったのではないでしょうか。若い人から中高年の方まで年代や性別もさまざま、知事選への関心の高さがうかがわれました。
参加者は、田中康夫さん、峯正一さん、村井仁さん(立候補表明順) の3人。
まず最初に「長野県の未来像、めざすビジョン」について、一人5分間の持ち時間で語ることから始まりました。三人三様の回答を聞きながら、もうここのところで峯さんは私の関心からは外れました。峯さんにしか語れないことがなかった=だれでもそのくらいのことは考えている、という内容しかなかったからです。はっきり言って、どうして立候補したのか理解できませんでした。
そんなわけで、以下には田中さんと村井さんのお二人の発言をまとめました。( )内太字は、私からの感想というかツッコミです。
◆長野県の未来像について
村井さん
「基礎自治体である市町村の自立をめざす。国から県へ、県から市町村へ、という二重構造が必要なのか疑問に思っている。市町村にもっと権限・財源があるという状態にもっていきたい。強い市町村、地域を作るお手伝いをしたい。」
(地方分権一括法により、これまでより市町村に権限が与えられたかもしれないが、その権限を有効に行使できる首長がはたしてどれだけいるのか。自治体に財源がある状態にしたいというが、国からの交付税など減らされる一方だ。どこからお金を持ってくるのかと思ったら、聞いて驚いた。「国の財政と家計とはちがう、赤字を恐れてはいけない。借金を気にしすぎて県の事業をカットするばかりでは、地域経済が縮小してしまう」ようするに借金しなさい、国の補助金取ってこいというのだ。)
田中さん
「利益誘導型県政からの脱却をめざしてやってきた。今後もそれに変わりはない。『脱ダム』はただそれのみでなく、皆が望む形で公明正大に税金を使うこと、一部の既得権益だったものを皆で分かち合うことにつながる。自発的、自立的に考える県民とともに、ピラミッド型でないフラットな(平かな横につながる)社会をめざす。」
◆マニフェスト(政策)に関連して
村井さん
「田中知事が誕生した時、長野県の夜明けと感じ、目の覚める思いがしたので、ずっと注目してきた。時が経つにつれ、市町村は県庁(知事)の動向を気にしているな、知事の権限が強すぎるのか、これでは吉村県政以前と変わっていないと感じた。市町村主体の県政に変えていきたい。」
(「市町村主体の県政」といえば聞こえはいいが、私から見たところ市町村の「首長主体の県政」なのでは?)
「合併して県内は81市町村になった。地域で「やりたいこと」が必ずあるはずで、まずは自分たちのまちで始めること。自立する市町村、自主性を大切にして、県はそれをサポートする。」
「どう合意を作り上げるか。首長が言ったからということではなく、住民の大方が望むことに耳を傾け、田中知事も言っているように上下の関係ではなくフラットな関係のなかでやっていく。このところ県(田中知事)は、市町村の言うことを聞かない、国に取り次がない、というように見える。」
(既得権にすがる市町村長にとっては、当然そんなふうに感じることでしょう。しかし、住民側にたって文字通り自主的にやってきた市町村長は、まるで反対の評価をしていますよ。)
田中さん
「まずは未来の子どもたちにツケをまわさないこと。5年間に県の借金を923億円減らした。単年度収支も7年連続の黒字、今年度の決算見込みでは基金(貯金)の取り崩しもゼロとなる。その間、小学校の30人規模学級や就学前の乳幼児医療費無料化など県独自の施策も実現した。今後もこの路線で財政再建を進める。」
「木製ガードレールはスチール製より高い。しかし、スチール製のガードレールは大手5社のシェア、方や木製ガードレールは県内でしか作れない。長野県の経済や地元雇用に貢献している。工場誘致にしても、中央から大企業の工場きても、派遣社員が付いてきて地元雇用がいくらもない場合が多い。地場産業の盛んな地域を盛り立てることを考えたほうがいい。また、環境に配慮する企業には県の助成金もある。」
「活気のない商店街、商工会など、団体に対して漠然と全体を支援するのではなく、個々の頑張っているものに対して支援するという考え方。それを見てやる気を出したものが次に続く、点への支援が線になり面に広がっていくような支援を考えている。」
※続く