説明責任をはたすには

栗田工業(株)の汚泥談合事件に対する組合対応

 穂高広域施設組合(穂高クリーンセンター)議会の定例会がありました。なんでも関係者のスケジュール調整がつかなかったとかで、開会時刻が夜の9時という異例の定例会となりました。このような遅い時間帯に開催されるとなると、終了時刻の方が気になって、充分な審議ができるのかという点も不安に感じました。今後はこのようなことがないようにすると、事務局より反省の弁がありました。

 定例会に先立って開かれた全員協議会では、バイオマスエネルギー地域システム化実験事業の施設建設について報告がありました。いよいよ基礎工事が始まり、来年2月からの試験稼動をめざすとのこと。

 これについては5月8日の活動報告でお知らせしたとおり、私は実験施設の工事請負契約に反対しましたが、賛成多数で可決されています。こうして契約した栗田工業は、そのとき既に、し尿・汚泥処理施設工事を巡る談合事件に絡んで家宅捜索が入ったと報道されていたので、そういった疑惑のある会社と契約することにも、私は大きな疑問を感じていました。

 その後、5月23日には独占禁止法違反(不当な取引制限)で7名が逮捕、栗田工業を含む4社が告発される事態となったので、私としては穂高広域施設組合がどういった対応をするのか注視していました。1週間たっても何の知らせもないので、5月31日には私の方から事務局へ電話で問い合わせをしました。

 「請負契約をした時点ではまだ捜査中だったが、その後逮捕・告発ということになった。請負契約はどうするのか。栗田工業が辞退することはないのか。このまま栗田工業が工事をするというなら、組合関係市町村にその理由をしっかりと説明する必要があるのではないか。」と尋ねたところ、事務局長はあまり積極的でない口ぶりでした。

 これはウヤムヤになるのかなと心配していたら、6月8日付けで通知文書が出たのです。以下ですが、平成18年6月8日付けで、穂高広域施設組合の組織市町村部長・担当課長宛てに、穂高広域施設組合の管理者である平林伊三郎の名前で送られた文書の内容です。まずはご覧ください。

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標題「バイオマスエネルギー地域システム化実験事業」に係る栗田工業(株)と締結したメタン発酵槽本体設備工事請負契約と同社の汚泥談合事件に対する組合対応について

 組合組織市町村の部長並びに担当課長におかれましては、当穂高広域施設組合の業務運営に対し、ご協力をいただき誠にありがとうございます。

 当組合が平成17年度より実施しております標記実験事業は、本年12月を目標に乾式メタン発酵施設を完了すべく、4月28日に発酵施設本体の工事請負仮契約を栗田工業(株)と締結、5月8日の組合議会臨時会において本契約の議決をいただき、メタン発酵槽設備工事に着手しているところであります。

 このような状況の中、公正取引委員会の告発を受けた大阪地方検察庁が、(株)クボタ、栗田工業(株)を始めとする大手プラントメーカー7社に対し、平成17年2月以降の8件の自治体発注の汚泥処理施設の入札で談合があったとして、5月23日に独占禁止法違反(不当な取引制限)容疑で各社の部長級担当者7名を逮捕、さらにこの談合に参加したメーカー4社を告発する事態となりました。

 この談合事件により、本体工事を受注した栗田工業(株)の社員が逮捕されるという異例な事態となり、誠に遺憾でありますが、メタン発酵槽本体設備工事に対する当組合の対応として、工事請負契約は逮捕日以前に締結されたものであり、既に工事に着手しておりますので、今後も継続し工事を進めさせて頂きますので、各組織市町村のご理解をお願いいたします。

 尚、組織市町村部長、課長におかれましては、各市町村議会において汚泥談合に絡む関連質問がございましたら、対応をお願い申し上げます。

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 前段が長くなりましたが、今日の組合議会では以上の経過について質しておきたかったのです。特に、通知文書の最後のところ、「組織市町村部長、課長におかれましては、各市町村議会において汚泥談合に絡む関連質問がございましたら、対応をお願い申し上げます。」について、これは「質問されなければ、答えなくていい」と言っているのと同じではないか、管理者はどう考えているのかと質問しました。

 事務局長からは要領を得ない答弁と、栗田工業(株)の重要な立場にある方から談合事件について説明とお詫びがあったとの報告。管理者(安曇野市長)からは「説明は責務かもしれないが、(組合のことなので)質問があれば答えていただくということで、積極的に説明する必要はない。聞かれたら組合議員がそれぞれ(の自治体の議会で)説明すればよい。そのための広域施設組合の議会である。」というような、まるで他人事のようなことをおっしゃるので、力が抜ける思いでした。

 組合議員が説明すればよいというなら、議員一人ひとりにも、もっとちゃんとした経過説明が必要です。でなければ、自分の自治体に帰って充分な説明ができません。組合議会として、もっと厳しく説明を求め、責任を明らかにさせる必要があったと思います。