12月議会・小林じゅん子の一般質問

三郷ベジタブルの経営改善について

 私が三郷ベジタブルについて一般質問で取り上げるのは、これで4回目となります。3月議会6月議会と続けて一般質問で取り上げたときには、「まだやるのか!」とヤジがとびましたが、その後は事の重大性が認識され、この12月定例議会では議論の焦点となっています。

 思えば1年前の12月定例議会、議長提出の諸般の報告の中に問題の決算書はありました。株式会社三郷ベジタブル第3期決算書です。業績不振というような話もきいていたので、また赤字かなと思いページをめくりました。ところが当期純利益1,900万円あまりの黒字とあり、意外な気はしましたが、すぐには問題に気がつきませんでした。市へ支払うべきトマト栽培施設使用料が1億8,000万円もの未払金になっていることを、私が知ったのは年が明けてからでした。三郷ベジタブルから説明があったのは、なんと2月下旬、3月の予算議会を目前にした頃でした。その後の経緯については皆さんご承知の通りです。

 もし、あのときの12月議会で第3期の決算について、その実態が報告されていれば、今ごろは経営改善計画も実行に移され4期目の決算もちがったものになっていたでしょう。
 議会からの指摘や市の監査にとどまらず、住民監査請求もあり、住民訴訟にまで発展しているにもかかわらず、無為に過ぎてしまった三郷ベジタブルのこの1年は致命的であり、非常に残念に思います・・・、というような前置きから質問に入りました。

1、財政援助団体等監査の結果について
 8月の監査報告で指摘された以下の2点について、その後の対応はどうなっているか。①損失補償契約について、契約書の不備や契約書そのものの不存在など早急に是正すること、について。

 これについては、私の直前に質問した丸山議員が、かなりのところまで追及してくれたので、問題の実態がいっそうハッキリしてきました。監査により是正を求められていることについて、ほとんど何も進んでいないということも分かりました。

 そこで私は以下のような質問で詰めていきました。

◆C金融機関との損失補償契約書は存在しないが、2003年3月にC金融機関より「諸経費支払い」の使途目的で6千万円借入したのは、損失補償契約なのか?

◆損失補償契約書は存在せず、一般的な借入の契約書(金銭消費貸借契約書)があるだけであるが、市は損失補償契約だと言っている。それにしては、市の損失補償の期限を過ぎたH26年1月25日が返済期限となっており、印紙も貼られておらず、不審な点の多い契約書である。この借入が損失補償契約だとする根拠は?

◆一時借入をしては長期借入の返済をしている。この一時借入はどこからいくら、どのように借入しているのか?誰がどのような立場で保証人になっているのか?

◆契約書等の不備ということでは、施設使用の賃貸借契約は17年間となっているが、三郷ベジタブルの指定管理者の指定期間は10年間であり、一致していない。そもそも指定管理の協定書も結んでいないが、どうなっているのか。

◆以上、三郷村行政の仕事ぶりを表すもの。地方公共団体は、法令に違反してその事務を処理してはならない。とする地方自治法2条16項にことごとく違反している。西山副市長(旧三郷村長)の見解は?

②組織体制の見直しも含めて新たな「経営改善計画」を作成すること、について。

◆生産力アップ、技術力アップ、販売網の確立、組織の見直し、の4点を重点に新たな「経営改善計画」の見直しをしているとのことだが、それ以前に、第4期決算の現状把握はどうなっているか。

◆未払金のほとんどが安曇野市に対する賃借料の未払分である。この金額の全部を、切り捨てても正味財産は増加することはない。売上高に対しての売上原価を見てみると、それぞれの売上高に対する割合は、原材料費24%、人件費40%、水道光熱費33%、棚卸資産廃棄12%。もうこれだけで売上高に対して約110%となり、売上高を10%も超えてしまう。作っても作っても赤字で、今後の再建は非常に厳しいのでは。

◆県農業開発公社から20年5月までに買取を約束している土地購入費1億7,239万円については一円の積立ても出来ていない。どうするつもりか。

◆当期の損失で2億4640万円の発生というものの、実態は前期までの決算を含め正味では3年間の損失といえる。累積では、3億1791万円の赤字、年1億円の赤字を作ってきたといっても過言ではない。2期目以降の売上の減少と伸び悩みは、単に技術的な要因ばかりではなく、当初からの計画と市場経済を無視した結果ではないのか。その点の反省は?

2、住民監査請求による勧告について
 請求人の主張を一部認め、市に対し平成19年度一般会計予算にトマト栽培施設使用料7,138万円増額補正するように勧告されたが、市としての考えは。同様に三郷ベジタブルとしての考えは。

・10月4日の意見陳述での担当部長の発言「公の施設であり、政策目的をもって整備したもの、担い手の育成、農業振興、雇用の創出、遊休荒廃農地の有効活用などの目的から作った施設。本来ならば、施設使用料は自治体が当然負担すべきものと考える」

・11月29日の定例記者会見での市長の発言「妥当な金額かどうかは疑問。検証しなおす必要がある」

・11月29日の全協での担当部長の発言「7000万円の施設使用料はベラボーな金額」

◆これらの発言は、最近になって三郷ベジタブルの経営が立ち行かなくなったために出てきたもの。そもそも、このベラボーな金額の使用料を払えるだけの収益が上がる、という当初計画に問題があったのではないか。

 以上、私が質問した事項を並べてみましたが、担当部長と副市長の答弁は責任を感じているのかいないのか、まるで他人事のような答弁と話しぶりで、「これで再建計画が進むのだろうか?」と不安は大きくなるばかりでした。

 最後に、「市長は『仮定の話はできない』と言ったが、もはや『仮定の話』ではなく、現実の話である。次の手を考えておられるはずですが・・・」という言葉で締めくくりました。
※答弁も含めて詳しい報告は後日に。