安曇野市の三セク8社の経営内容を点検(1)

安曇野市出資法人あり方検討専門委員会を傍聴して

 1月28日開催の安曇野市出資法人あり方検討専門委員会を傍聴した「三郷ベジタブルの経営改善を望む市民の会」のYさんがまとめたレポートを掲載します。(1ページの文字数に制限があるので2回に分けて掲載)
 28日の委員会では報告書案が検討されたわけですが、来週18日の委員会最終回では報告書が提出されるとのことです。注目したいと思います。

経営内容に問題山積 安曇野市出資法人あり方検討専門委
   三郷ベジタブルの危機的状況に疑問や不安噴出

 安曇野市の三セク8社の経営内容を点検検討し市に対して提言する「安曇野市出資法人あり方検討委員会」が08年1月28日午後、堀金支所で開かれた。
 経営内容は三セクによってかなりの差があり、順調に健全な財務を維持しているところもあれば、ほとんど破産寸前ともいえるところなどさまざま。なかでも三郷ベジタブルの危機的状況が際立ち、ぬるま湯的な経営が債務を肥大させ、生産現場のマネージメントも立ち遅れているとして、際立って長い報告書案となった。
 同社が市議会に提出した経営改善計画についても厳しい目が注がれ、新たな借入の困難さや資金繰り悪化を懸念。市への提言では、改善計画を達成できない場合「早期に現法人による事業継続は断念するべきである」と踏み込んだ。

 検討委は2月18日に報告書をまとめ、市に提出する。三セクそのものへの検討委の考え方は「地域の先見的試みであり、時代の流れ」として否定しない基本方針をとっており、全体として存続の流れ。また検討委は諮問機関であり、市の対応を含め、「三郷ベジタブル」の行方は、まだ見えにくい。

 検討委員会は委員長に高崎経済大の河藤佳彦氏、委員に佐々木一夫(会計士)、花村薫(ちくま精機)、平尾勇(長野経済研究所)の各氏。19年度これまで4回のヒアリングや現地調査をし、報告書案をまとめた。ただこの時点では「対外的に示すものでない」とし、検討委ではメディアや傍聴者に報告書案を参考に配ったが、後で回収した。2月18日の最終報告書の表現や内容は、若干変わる可能性がある。

余裕ない資金計画、将来資金繰り悪化の恐れ
㈱三郷ベジタブルについての報告書案内容は要旨次の通り。
事業計画は行政職員を中心に策定された補助事業計画が主になっており、施設の規模は集団化が可能と思われる農地の面積から決定されている。またカゴメ㈱と全面的取引を前提として事業を計画しているにもかかわらず、技術者派遣はされていない。カゴメは全量を買い上げているが、一部を除き規格外品の自由販売を原則認めていないため、毎年多額の廃棄損が出ている。

 全国有数の日照時間が有効に作用しているとは言いがたく、寒冷地の劣位性が目立ってしまっている。経営状況は技術力の不足に加え、天候不順による日照不足等で売上が伸びず、使用料を含め多額の赤字を抱えるに至っている。
また経理面について第3期までの仕掛品の評価額が、通常の評価方法に比べて著しく過大となっていたが、第4期から通常の考え方に改められた。この結果、法人の決算内容は一層厳しいものになっている。

《短期に改善が必要な事項》
①新たな経営改善計画の定期的見直し
具体的な取り組みは一定の評価をする。しかし資金計画について、例えば修繕経費が十分組み込まれていない。期間中に1億7千万円を借入して土地購入を予定するなど、非常に余裕のない資金計画であり、将来の資金繰り悪化が懸念される。このことから、経営改善計画は市とも緊密連絡を図りながら、定期的見直しを行い、実効性をより高めていくことが必要である。

②経営改善計画の実効性を高めるための方策
秀品率の向上や販路拡大などにより、売上を伸ばすことが重要。あわせて収益率を向上させなくてはならない。そのため次の方策をとる。
(ア)栽培技術力の向上 地域にあった栽培技術、カゴメとの交渉も対等に行える競争力をつける
(イ)ブランド化による販売戦略 安曇野ブランドを徹底売り込み
(ウ)徹底したコスト削減 燃料費など入札制をできるかぎり導入

③経営改善計画の厳格な進捗管理
当法人は少なくとも四半期ごとに経営改善計画の進捗管理を的確に行うべきである。内部評価だけでなく外部評価も取り入れるべきである。
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