2度目の住民監査請求

長野銀行との損失補償契約について訴訟要件を追加するため

 24日、情報公開・個人情報保護審査会で意見陳述をしたことは、この前に報告したとおりですが、この日もう一つ大仕事がありました。2度目の住民監査請求を起したことです。市民タイムスと信濃毎日新聞の記事をご覧ください。

 今回も三セクの三郷ベジタブルに関するものです。三郷ベジタブルは、あづみ農業協同組合と株式会社八十二銀行、および株式会社長野銀行との間で、旧三郷村(安曇野市)の債務負担行為により2億5,000万円の損失補償契約を結んでいます。しかし、これらの損失補償契約書の情報公開請求をしたところ、旧三郷村と㈱三郷ベジタブル、および長野銀行が結んだ損失補償契約書は不存在であるというのです。

 契約書が無くては、損失補償の違法性を訴えても「そんな契約はしていない」と言われればアウト。ということで、この住民訴訟を起こした時点では、あづみ農業協同組合と株式会社八十二銀行の2行だけをあげて、長野銀行は省いたのでした。
 「契約書はなくても、間違いなく損失補償契約である」という安曇野市と三郷ベジタブルの言い分でしたが、監査委員や市議会の指摘を受け、今年になって1月10日に株式会社長野銀行と正式な損失補償契約を結びました。

 これで、長野銀行との損失補償についても、その違法性を訴えることができると思ったのですが、「訴訟を起こすことが出来るのは地方自治法第二四二条の住民監査請求を行った者である」という監査請求前置の規定があるので、改めて住民監査請求を起こすことになったわけです。この請求が認められなかった場合(棄却)に住民訴訟にもっていくことができるのです。

 以下、本日提出した住民監査請求です。今回から、市の監査委員事務局が用意した住民監査請求の方法により、「安曇野市職員措置請求書」という文書にして提出しました。

        安 曇 野 市 職 員 措 置 請 求 書
              副市長に関する措置請求の要旨

1、請求の要旨
安曇野市(旧三郷村)と㈱三郷ベジタブルおよび㈱長野銀行が結んだ6,000万円の損失補償契約は違法であるので、契約が無効であることを確認し、この契約に基づく一切の支払いをしてはならない。またこの契約が無効であることを確認することによって市に生じる損害は、当初の契約責任のある旧三郷村長であった副市長が弁済すること。

(1)事実の経過
安曇野市は、これまで旧三郷村(安曇野市)と㈱三郷ベジタブル(安曇野市が出資する第三セクター)、および㈱長野銀行が結んだ損失補償契約書は不存在であるとしていた。ところが、「損失補償契約書はないが旧三郷村の損失補償を担保に借入」をしているから契約書を作成すべき、との監査委員や市議会の指摘を受けて、08年1月10日に安曇野市(旧三郷村)と㈱三郷ベジタブル、および㈱長野銀行は6,000万円の損失補償契約を結んだ。(第1号証、第2号証、第3号証、)

(2)違法性
上記の損失補償契約は、03年12月12日の第三セクターに関する指針の改定(総務省)により「第三セクターの資金調達に関する損失補償は、原則行なわないこととすべきである」となったにもかかわらず、それを無視して締結されたものである。また、この損失補償契約は財政援助制限法第3条(地方自治体の財政を圧迫しないため違法、不当な財政援助を禁止している法律)で禁止している「保証契約」にあたるので違法である。(第3号証、第4号証、第5号証)
違法な契約は無効である。(地方自治法第2条第16項 地方公共団体は、法令に違反してその事務を処理してはならない。同第17項 前項の規定に違反して行なった地方公共団体の行為は、これを無効とする。)

(3)市の損害
安曇野市(旧三郷村)と㈱三郷ベジタブルおよび㈱長野銀行が結んだ損失補償契6,000万円は、㈱三郷ベジタブルの経営状況から償還できる見通しはない。
 安曇野市出資法人あり方検討専門委員会の調査報告においても、三郷ベジタブルの経営改善計画は「非常に余裕のない資金計画であり、将来の資金繰り悪化が懸念される」など、厳しい見方をしている。このような状況は、市からすれば損害が生じているのと同等である。(第6号証)

(4)監査委員に求める措置
よって請求人は、監査委員が市長に対して、以下の内容の勧告をされるよう請求する。
市は、市(旧三郷村)と㈱三郷ベジタブルおよび㈱長野銀行が結んだ6,000万円の損失補償契約は違法であるので、契約が無効であることを確認し、この契約に基づく一切の支払いをしてはならない。またこの契約が無効であることを確認することによって市に生じる損害は、当初の契約責任のある旧三郷村長であった副市長が弁済すること。

2、 請求者 
住 所 安曇野市穂高牧425-1  
氏 名 藤原 浩(自署 押印)        
職 業 無職
住 所 安曇野市穂高有明2104-10
氏 名 小林純子(自署 押印)
職 業 安曇野市議会議員

以上、地方自治法第242条第1項の規定により、事実証明書を添えて、必要な措置を請求します。

2008年3月24日
安曇野市監査委員 各位